生理休暇とは生理痛がひどい時に休むことができる国の制度

生理休暇という制度が労働基準法で定められていることをご存知でしょうか?毎月必ずやってくる生理がとても重くて仕事にならないけれど、上司に言い出せるはずもなくひたすら我慢しかないという働く女性は多いもの。生理休暇の活用法を理解して、月1の悩みから解放されましょう。

生理休暇とは生理痛がひどい時に休むことができる国の制度

生理痛がひどい時は生理休暇を活用して体を休めよう

生理痛が重くて毎月本当に辛い思いをしている働く女性の皆さんは、生理の1週間をどのように過ごしているでしょうか。

「辛いけれど業務は止められないし、生理痛で休みたいと上司に言ったらサボる口実だと思われるかもしれないしと、結局辛い体とイライラする気持ちを抱えながら8時間を耐えている…」

気持ちはわかります。しかし、その考え方が実はかなり業務効率を悪くしていることに気付いているでしょうか?

働く女性に知ってほしい生理休暇の仕組みについて詳しく解説していきます。生理休暇を理解し、自分がより働きやすい環境を手に入れましょう。

生理休暇とは?

生理痛がひどくてお腹を押さえている会社員の女性

労働基準法第68条には「生理日の就業が著しく困難な女子に対する措置」として「生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求したときは、使用者はその者を生理日に就業させてはならない」という記載があります。つまり、生理休暇は労基法で公的な制度として定められています。

また、申請の際に医師の診断書など証明書の提出義務はなく、会社側が生理休暇の日数を指定することもできません。生理休暇は、女性社員が申請すれば取得できるものとして制度が整えられているのです。

生理痛がひどくても女性たちが生理休暇を取得しない3つの理由

働く女性たちは、本当は体調が悪いから休みたいのに生理休暇を利用しない理由として、以下のようなことが挙げられます。

1 職場に自分の代わりがいない

悩んでいるスーツ姿の女性

働く女性は自分の仕事に責任感を持っている人が多いですよね。そのため、どれだけ辛くても「自分が仕事を休んでしまったら、業務が回らなくてみんなに迷惑をかけてしまう!生理休暇など申請できるわけがない!」と思ってしまうのです。

そして、そう考える女性が多いからこそ、職場は生理痛を我慢して業務にあたることを当然だと思う、そんな悪循環が色濃く発生しています。

2 上司(特に男性)に生理だと知られるのが恥ずかしい

現在の日本ではまだまだ上司といえば男性が多いもの。生理休暇をとるには上司に申請して承認を得ることが必要になります。男性に生理であることと状況を詳細に説明しなくてはならないことを恥ずかしいと思う女性は少なくありません。

実のところ、男性は生理中のいつもと違う女性の雰囲気を案外感じているのですが、「大変だな」とか「助けてあげよう」と思うよりも「気まずいから近づかないでおこう」と思うことが多いのも大きな障壁になっています。

3 「生理痛ごときで休むのはサボり」だと思われたくない

憂鬱な顔をして仕事をしている女性社員

いつもより体調が悪そうだったり、いつもよりイライラしていることは感じられても、生理のない男性に生理痛の辛さは理解できません。女性もそれがわかっているからこそ、生理休暇という制度を使って休むことに罪悪感を抱いてしまいます。

それだけでなく、生理休暇をとることでサボっていると思われたら働きにくくなってしまうという恐怖にも発展する可能性があるのです。その結果、生理痛を薬で抑えていつも通り振舞うことを選び、生理休暇などなかったことにしてしまうのです。

生理痛がひどくても生理休暇を取っていない女性が多いのが現状

働く女性の増加に伴い1947年に制定された生理休暇のシステムですが、平成 27年度雇用均等基本調査によると、生理休暇の請求者がいた企業の割合は、平成19年度時点では5.9%であるのに対し、平成26年4月1日から平成27年3月31日までの間では 2.2%にまで減少しています。さらに、生理休暇を請求した女性労働者の割合はなんと0.9%という結果が出ています。
その一方で、辛い生理痛を抱える女性は昔よりもむしろ増えているという矛盾した背景もあります。

痛くて辛く集中力が続かない状態で仕事をし、いつもはミスしない通常業務に抜けが発生したり、会社での仕事に不可欠なコミュニケーションに軋轢が生じたり…1日できっかり終わる業務ならまだリカバリーはできるでしょうが、生理の日の業務が後々にかかわってくるものだとしたら生理痛による影響はとても大きくなります。

しかし、生理痛で仕事を休むことについて、上司や同僚から見てどう思われるかの不安の方が、効率維持よりも勝ってしまうのが多くの働く女性を取り巻く環境です。これが女性の気にしすぎで、男性は生理を理由とした休みに寛容だというのなら救いはあるのですが、労働基準法に定められ、就業規則を持つ会社の多くに制度があるにもかかわらず取得率がとてつもなく低い現状を見ると、「生理ごときで休む」ことをよしとしない考えは、女性側の勘違いではなく、世の中全体で蔓延しているといっても過言ではありません。

取りづらいけれど生理痛がひどい時は生理休暇を取ろう

今の日本の風潮的に取りづらいとされる生理休暇は、就業規則にもしっかりと記載されて会社にも制度として存在していることは事実です。しかし、汎用的ではないからこそ、会社によっては規定があいまいになっていることをも少なくありません。実際に生理休暇を利用したいときにはどんな点に注意して生理休暇を申請すべきなのでしょうか。

生理休暇を取る時は有給でとるか無給でとるか就業規則を確認する

生理休暇中の賃金については、その企業の就業規則や労働協約における特筆事項がない限り、基本的には無給です。単純な欠勤と違うのは、自己管理を怠ったり、突然業務に穴をあけたりしてあなたの評価に直接的なマイナスがつかない部分です。

ただし、会社によっては生理休暇を重要なものととらえ、有給扱いとして設定しているところもあることは事実です。申請の前には、あなたの会社が有給・無給どちらで生理休暇の規定を設けているかを必ず確認しておいたほうがいいでしょう。

あなたは有給だと思っていても、会社はそうではなかったというケースもあり得ることです。「一般常識として生理休暇といえば」という観点がないことからも、生理休暇という制度そのものがあまり成長していない分野であることがうかがえます。

就業規則を作成する会社の社長でさえ、設定と記載を義務とされているから盛り込んでいるだけで、実は自分の会社でどのように運用していくのが適正なのかをしっかりとわかっていない場合もあります。あなた自身がモデルケースとなり、会社の生理休暇のシステムを構築するのもひとつの手でしょう。

生理休暇を取る日にちも会社に確認しておこう

生理休暇の取得可能日数は1日であったり3日であったりと、その企業によってそれぞれですので、実際に申請する際に会社に確認しておきましょう。

また、生理休暇は半日あるいは時間単位で取得することも認められています。生理休暇を1日利用して以降は様子を見て薬に頼るのか、有給休暇も加えて体を労わるのかなど、そのあたりの判断は自分で見極める必要があります。

生理休暇をズル休みに使うのは論外!

主張する眼鏡をかけた会社員の女性

女性のみに認められている生理休暇を誤った見方でとらえ、不正に利用することを考えている方はすぐにでも改めてください。

過去には、生理休暇と偽って旅行にいくなどの不正利用が会社に発覚し、処罰の対象になった例もあります。そんな事例があるからこそ、生理休暇の利用を男性はずるいと思い、女性も悪い印象を持たれたくないから利用せずにむしろ業務効率を下げてしまうという事態に陥るのです。

生理休暇は女性の特権ではなく、働く女性がしっかりと自分の責任を果たすために、体調との両立を支える支援制度です。そのことを忘れずに、利用するときは会社の規定に沿った正しい申請をしましょう。

生理休暇の取得方法はパートやアルバイトなどの雇用形態で変わらない

働く女性の中には正社員ではない働き方を選んでいる方も多いでしょうが、パート・アルバイト・派遣社員等どんな雇用形態であっても労働者である以上生理休暇の取得は可能です。「パートだから正社員の方が読むような就業規則にある規定には関係ない」などとは思わず、会社の生理休暇のルールを確認しておきましょう。

生理痛がひどい時は我慢しないで生理休暇を活用しよう

生理休暇は特権ではないですが、利用を躊躇しなくてはいけないものでもありません。生理休暇を取りづらい、恥ずかしいと思ってしまう方は、自分の体調と業務をしっかりと両立させるためには、上司や同僚に少しだけお願いして、休ませてもらうことも必要だと考えてください。

周囲に「あなたに休まれてしまうと困るけれど、辛いなら代わりにがんばるから大事にしてね」と言ってもらえるかどうかは、日々のあなた次第です。日々周りにいる方々と良好な関係性を保ち、業務を常に共有する、ほかのだれかが休んでも自分がリカバリーできる体制を整えるなど、当たり前のことを地道に積み重ねて信頼関係を築くことも必要となるでしょう。