看護系を目指すなら人気の保健師の仕事内容を知っておこう
看護系の大学や専門学校に通われた方はご存知でしょうが、保健師という資格は看護業界で大変な人気を誇る資格です。医師や看護師とは違う働き方や健康問題へのアプローチの仕方の違いから取得する道をどちらにしようか迷われる方もいます。
また、保健師は国家公務員の扱いとなる場合もあるため、安定性を見込んで資格取得をされる方も多いです。しかし、具体的にはどのような仕事をしているのかは掴めていない方は少なくないでしょう。今回は看護系で大人気の保健師についてまとめましたので、将来は保健師の資格を取りたいという方は必見です。
保健師の仕事の役割はケガや病気の予防に努めること
まずは、保健師という職業にはどのような役割が期待されているのかについてご説明します。医師や看護師の役割がケガや病気の治療であることに対して、保健師の仕事はケガや病気の予防が主な役割です。
ケガや病気を治すために医師や看護師がおり、患者さんもその目的で来院します。しかし、心身の不調に対して前もって注意を払うべきで、特に病気によっては表面化した時にはすでに手遅れだったというケースも多くあります。そのためには予防システムの構築と予防に関するエキスパートが必要とされるのは当然のことといえるでしょう。そしてそのケガや病気の予防に関するエキスパートこそ保健師なのです。
予防のエキスパートである保健師はマクロとミクロの両面から病気や怪我の予防ネットワークを構築し、少しでも傷病者を減らしつつ患者へ施す医療の下準備をする役割を担っており、厚生労働省から地方自治体、市町村役場でも求められることがあるので活躍の場は幅広いです。
また、予防によって患者の数を減らすことで、高度医療や予防研究への時間・人員を確保することにも繋がります。地方自治体などに勤めている場合、地域住民の健康管理をしたり健康相談に乗ったりすることで事前に地域の状態を把握することになるので、災害等に備えて薬剤の準備や医療に必要な道具の備蓄を進言出来る位置にいる、医療面での貢献度が極めて高い職業といえます。
保健師の仕事内容は医学的な観点からアドバイスをおくること
保健師の仕事は広範囲に渡る対象者の健康管理と予防に関する業務全般です。保健師は業務を遂行することが直接社会貢献になる職業・資格ですので、人々の役に立ちたいという意気込みを抱いた方が活躍されているでしょう。
保健師の具体的な仕事内容には乳幼児健診、予防接種、母子指導、健康診断、健康指導などがあります。母子に関する内容が多いですが、保健師の仕事対象は母子だけではありません。幅広い年代に対して健康増進と予防に関する事柄を扱います。
例えば、高齢者の方が「ガンかもしれない」「最近、体調に違和感がある」など漠然とした内容で相談してきたとしても、保健師はなにかしらの回答をしなくてはいけません。相談者の通院や食生活、日々の運動といった事柄を聞き出せるようなコミュニケーション能力、生活習慣などから多角的に相談内容を吟味しアドバイスを送る経験とスキルが必要です。
また、お子さんがいらっしゃる家庭からは「子どもの成長が遅いのではないか」「ひょっとしたら何かの病気かも」といった普段から子供に接している立場の方なら一度は感じたことのある疑問にも、お答えしなくてはいけません。親や教員など、素人には判別の難しい問題ですし、医師不足から相談の場も限られてしまっているのが現状です。保健師は子供の成長や健康に関しても医学的観点からアドバイスできる立場にあります。
保健師として活躍できる場所は3つ
保健師には行政保健師、産業保健師、学校保健師という3つの区分があります。それぞれの業務に大きな違いがある訳ではなく求められる行動の範囲が異なるだけです。行動範囲に即して課せられる義務にも違いがありますが、所属する組織によって異なるため一概には説明できません。そのため、今回は以下3種類の保健師にどのような違いがあるのだけご紹介します。
行政保健師は都道府県や市町村が運営する施設で仕事をする
行政保健師には管轄範囲の違いから、都道府県保健師と市区町村保健師の2種類があります。管轄の違いから行う業務の種類も異なります。
都道府県保健師であれば保険サービスや伝染病や致死率の高い病気などの予防、またそれに付随する保険サービスの運営などを行います。市区町村保健師と比較すると、個人へのサービスというよりも全体に対する平均的なサービスの運営が主な業務内容となります。
市区町村保健師の場合は都道府県保健師と対を成すものであり、個人への保険サービスが大きな部分を占めます。健康診断や高齢者支援、体の不自由な人への日常行為に対する支援など個々人に適したサービスの管理が主に行うことになります。
産業保健師は企業で勤めている社員の健康管理を行う
産業保健師は企業に勤める保健師のことで、企業に常駐して社員のメンタルケアや健康管理を行います。近年徐々に産業保健師を取り入れる企業も増えてきていますが、行政保健師に比べると業務範囲が狭く、給与も高いため競争率が高い傾向にあります。今のところ産業保健師を採用している企業は大きな組織であり、社員のメンタルにも気を配るホワイト企業として認識されるため、競争率に拍車をかけています。
学校保健師は小中学校や高校、大学で学生の健康管理を行う
専門学校や大学、一部の私立小・中学校や高等学校で働く保健師で、主に学生のケアや健康管理を行うので高いコミュニケーション能力を持っていると評価されます。
学校保健師という名前の響きと似た役割から保健室の先生と混同されがちですが、保健室にいる先生は養護教諭という教員免許を持っており、保険の教育の先生であれば保健指導に当たらなくてはいけません。学校保健師は生徒のみならず、職員の健康をも管理します。
保健師が仕事でつらいと感じるのはコミュニケーションの難しさ
保健師の大部分は行政保健師ですので、外回りをして予防や健康増進の普及に勤めなくてはなりません。このとき、漠然とした内容に対して的確な指示をしなければならなかったり、高齢者とのコミュニケーションを取ったりすることに難しさを感じて退職をしてしまう方がいます。
また、医師や看護師とは違い医療業務ではないとはいえ、まだ表面化されていない病気やケガを察知するには苦労する部分が多く、改善の余地があることは確かでしょう。
もちろん保健師をやっていてよかったと思えることもたくさんある
保健師の仕事は健康に関わることです。そして健康とはすべての人にかかわる問題です。保健師という職業で得た知識は自分に還元され、自分や家族の健康の維持に役立ちます。
健康に関する知識をもって他者に説明することで自らの健康の意識が高まったり、健康に関する不安が軽減されたときには喜びを感じます。インフルエンザなど一定周期に流行る病気などの感染率を抑えられたりするのも、保健師の特権と言えるでしょう。このように保健師は自他ともに健康という側面から喜びを与えられる職業なのです。
保健師の仕事をしていて感じるのは何ものにも代えがたい達成感
保健師として活躍するには、保健師の資格だけでなく看護師の資格が必要です。そのため病院で看護師として働く、保健師資格の保有者もいます。
広く一般的な病気や怪我の予防に努める保健師ですが、年々健康に関する事象は高度になりつつあります。保健師は学んだ知識や経験を活かして、対策を練ったり知識のない市民へ説明したりする義務を持ちます。自らの働きが社会に貢献した時の達成感は何ものにも代えがたいでしょう。