ボランティア休暇制度とは
ボランティア休暇制度とは、従業員が仕事を休んでボランティア活動を行うことを会社が認める制度です。社会貢献活動休暇とも呼ばれ、ボランティアに対する個人の意識の高まりと、企業の社会貢献が注目され始めている現状を受け、今、制度を導入する企業が増えています。
ボランティア休暇制度は発展途上にある
ボランティア休暇制度の導入を国が応援してはいるものの、ボランティア休暇制度自体はまだ歴史が浅く、発展途上にあります。休暇を認めるボランティアの種類、ボランティア休暇を認める日にち、有給なのか無給なのかなどのルール決めは様々なことから、制度の導入にあたり、まだ企業が試行錯誤している様が分かります。
ボランティア休暇制度のメリット
働いている会社にボランティア休暇制度があれば、「行きたい」「やりたい」と思った時に誰に気兼ねすることなく休暇をとって活動することができます。ボランティア活動に一歩足を踏み込む勇気を妨げているのは、やりたいと思っていても仕事を休んでまでできない事が要因の一つですから、これが解消されるメリットはとても大きいです。リフレッシュ休暇と同じく、目的を持った休暇制度を利用できることは働く側の満足度を上げることにもつながります。
ボランティア休暇制度を導入していることは、企業にとってもメリットがあります。就活生が企業を選ぶ際、企業が行っている社会貢献を企業の魅力のひとつと考え興味を持つことがあるからです。近年注目を集める企業のCSR活動(社会貢献)は、環境への配慮や福祉への貢献など、多岐に渡ります。自らの利益を考えるだけでなく、社会の発展に力を注ぐ企業の姿はとても魅力的と映ります。
ボランティア休暇をとってボランティア活動をした体験談
ここからは、ボランティア休暇をとってボランティア活動をした体験談を紹介していきます。もしも自分の働いている会社にボランティア休暇制度があるなら、利用してみてはいかがでしょう。取得する休暇は短くても貢献できるボランティア活動はたくさんあります。ボランティア活動の経験から得られることは、本当に大きいです。
同職種へのチェックも兼ねて
仕事に興味あり(29歳)
働いている会社は、特別養護老人ホームです。休暇を貰った期間は3日間です。ボランティアのためにと言っても、同業の様子をチェックするためでもありますので、簡単にオッケーを貰えました。
ボランティアとして選んだ業種は、デイサービスでのレクリエーションがメインの内容でした。ボランティアに行く事で、他の老人ホームのデイサービスでどのような事が行われているのかを自分の目で確かめる事が出来たので、とても良い勉強になりました。
レクリエーションだけではなく、掲示物などでどんな明るい場所にしているか、どんな行事を行っているのか、などを知る事が出来たのは大きな成果でした。レクリエーションでは、元々、仕事が介護士ですので、体操などにも参加しました。
初めてのボランティアでした
かんかん(32歳)
働いている会社の業種は、金融業です。休暇をとって、東日本大震災のボランティアを行ないました。ボランティアを行なった期間は1週間です。
ボランティアのために休暇を願い出たときの会社の対応は、私が東北にボランティアに行くことを社内の方に知らせて、社内の人がいろいろな支援物資をまとめて、それを東北にある支社の方たちに渡すように託され、みんなで好意的に送り出してくれました。
ボランティアに行ってみて、初めての経験だったので、自分が役に立つことが何かあるだろうかと不安のほうが多かったのですが、あれほどの大災害なので、現地に行けば、いくらでも作業はあり、不安でも足を運んで良かったと感じました。
同時に、自分の住む地域でも災害が起きたときには、こうしておくべき、などの心構えが少しできたように感じています。
協力的な会社の雰囲気に感動
アミ(26歳)
私は都内の出版関係の会社で、編集の仕事をしています。2016年の春に熊本地震が起きた時、5日間の休暇を取ってボランティアに参加しました。
私がしたボランティアの内容は、支援物資の仕分けと被災した住宅に状況を確認するためのアンケート配布です。現地に着くまでどのような作業をするのか分かりませんでしたが、昔お世話になった知人が何人もいる熊本の地震と聞いていてもたってもいられず、会社に休暇を相談しました。
上司にあきれられるかもと思っていましたが、「被災地を見たりそこで働いたりするのはなかなかできない経験だから、頑張ってきて仕事にも活かしてくれ」と快く送り出してくれて、感動しました。
現地では想像よりずっと多様な悩みを抱えた人がいて、無力感を覚えることもありましたが、被災地の皆さんが暖かく接してくれ、逆に力をもらい、とても勉強になりました。
障がい者のスポーツ大会
わたる(25歳)
ボランティアをした時は鍼灸師として働いていました。いわゆる医療職です。元々スポーツをしていました。たまたま障がい者のスポーツの大会があり、ボランティアスタッフが足りないと言う話を友人から聞いていましたので、1日だけ休暇をもらいその大会のボランティアに行くことになりました。
ボランティア活動にとても理解がある会社ですので、快く休暇を快諾してくれました。
初めての障がい者と触れ合う機会であると言うことで不安はあったのですが、みんな頑張ってスポーツに取り組んでいる姿を見て、また私たちのサポートする姿を見て「ありがとうございます。」と言ってくれるのでボランティアをしていて良かったなと思いました。
初めての方とも仲良くなれましたし、障がい者の方々の頑張っている姿も見ることが出来ましたので、また機会があれば積極的にボランティア活動を行っていきたいな思います。
清掃ボランティアの体験
lat(26歳)
私は普段、ネット通販会社の社員として働いています。ある時、市の広報誌に掲載されていた海岸の清掃ボランティアに興味を持ち、思い切って参加してみようと考えました。
3日間の休暇を取って参加する必要があり、少し不安にも思いながら会社に相談して見たところ、意外と好意的に受け取ってもらうことができ、きちんと3日間の休暇をもらうことができました。
実際に清掃ボランティアに取り組んだところ、思った以上に海岸にはゴミや汚れがたまっていてやりがいがありました。決して楽な作業だとは言えないのですが、自分の協力でみんなが利用する海岸が綺麗になっていくのは気分が良く、普段のデスクワークによる運動不足の解消にもちょうどよかったので、参加してよかったと思いました。
障がい者支援
たか(29歳)
私が働いている業種は児童発達支援です。休暇をとったボランティアでは自立型生活支援をしました。約2週間の休暇をとり、10日間ボランティアを行いました。会社からぜひ参加されたい方として応募がありましたので、積極的に参加しました。
大人の軽い発達の障がい者支援で、生活をともにし、料理を作ってあげたり普段のなにげない会話から本人がイキイキと生活を支えます。主な支援は食事を作り、一日の生活から見える気になる様子を日誌に書き上げるのが目的です。
具体的に、普段の生活の中で当たり前のことができなかったり忘れたりしたことを、毎日同じ教えを言葉を変えながら繰り返し伝えることが支援に繋がることを実感しました。
心が救われた素晴らしい経験
いか(29歳)
金融機関で働いています。行ったボランティア活動は、九州豪雨被害のあとの被災者の方の家財整理です。ボランティア休暇は1週間もらいました。仕事が閑散期だった為、快く承諾してくれました。
ボランティアは主に家財の整理や、水路の泥出しの作業をしました。被災地の燦々たる状況を見て被災者の痛みが直に伝わってき、テレビでは報道されていないものもあり、多くの人に伝わらないことがもどかしく感じます。
ボランティア活動では被災地の方々から沢山の労いの言葉をいただきました。現地の人やボランティア仲間同士声を掛け合いながら、楽しみながらボランティアできたのはとてもいい経験でした。
長時間作業をしていると逆に体力・体調等の心配をされたり、休憩の際はカレーや豚汁・飲み物をいただいたり、ボランティアをしている側が感謝の気持ちでいっぱいになりました。
ボランティア活動を通して人の助けになるだけではなく、適切な判断基準を持つことができ、自身の人間力を高めるうえでもボランティア活動は大変有意義な体験だと思いました。
豪雨災害ボランティア
ひろみ(30歳)
インテリア業界で働いています。弊社では「ボランティア休暇」というものがあり、会社からの承認があれば有給休暇としてボランティアをすることが可能です。
九州地方で豪雨災害があった際に、被災されたお宅の片づけのボランティアへ行きました。昨年の9月に3日間の休暇をとり、現地に行きました。
休暇を願い出た際、直属の上司は歓迎してくれすぐに本社へ届を出してくれました。本社も迅速に対応してくれ、すぐに許可が下りました。
ボランティアへ行ってみて、想像以上の被害に言葉を失いました。作業は肉体労働で秋とはいえ、汗をかきながら作業しました。
大変でしたが、被災者の方々が炊き出しをしてくださるなど、手厚くもてなしてくださり、とても良い経験になりました。たった3日間しかお手伝いできなかったので、また休暇を利用してボランティアにうかがいたいです。
東北震災でボランティア活動をしました
りな(30歳)
働いている会社の業種は製造業です。東北の震災が起きた時に、2週間ボランティア活動を現地でしてきました。
ボランティア活動のため休暇を申請した時の会社の反応ですが、反対はされなかったのですが、業務が忙しい時期の月末月初は避けて、最大でも2週間程度に留めてほしいと依頼されました。
私の会社の関係会社や取引先が東北に何社かありましたので、ボランティア活動に対する会社の理解はありましたし、会社の人事からはボランティア活動に行きたい人はぜひ申し出て欲しいと通達がありました。
上司も東北地方出身だったので快く送り出してくれました。ボランティアの内容としては、炊き出しなどの食事の準備やお年寄りのお世話などをしてきました。
熊本地震の際のボランティア
ぴよち(26歳)
熊本地震が起こってから1ヶ月後ほどにボランティアを決意しました。当時ホテルにてサービス業を行っており、熊本城近くの瓦礫などを撤去するボランティアに応募しました。
会社に1週間のボランティア休暇希望を出しましたが、会社の上司はすぐに許可を出してくれて、願い出た翌月にすぐに1週間休暇を頂けました。
当時ボランティアを希望する方はものすごく多くて、抽選で当たった方のみが行えるシステムでした。願い出た1週間後程で熊本市役所から連絡があり、内容などを説明して頂きました。
熊本に到着した当日は、言葉を失うほどの状況でした。しかし現地の方はとても前向きでボランティアで伺った私の方が力をもらいました。それに応えたくて重労働はきつかったですが頑張れました。貴重な体験ができてよかったと思います。
ボランティア休暇は貴重な経験ができる機会になる
今回は、ボランティア休暇制度を利用したことがある皆さんに、その体験談を寄せていただきました。ボランティア休暇の取得期間もボランティア内容も様々でしたが、皆さん貴重な経験ができボランティア休暇を取ってよかったとのことでした。
ボランティア活動での経験が、本業に役立ったり、新たな気づきを得るきっかけになったりすることもあります。自分が働く会社にボランティア休暇制度が設けられている場合、積極的に利用してボランティア活動に参加してみると良いでしょう。