グループディスカッションでは役割が大事
グループディスカッションは他の試験とは異なり他の競争者たちと一緒にあるテーマの解決を目指していくものです。普段から話し合うことになれていない方にとっては難しいかもしれません。それ故にグループディスカッションではコミュニケーション能力が一番大事だと言われます。しかしそれは本当なのでしょうか。コミュニケーション能力が低い方にとってこれは朗報かもしれませんが、グループディスカッションを行う上ではコミュニケーション能力以上に役割を理解することが大事です。
そもそも初めて会うような方たちとコミュニケーション能力云々を考えるのであれば他の試験に(した方が良いでしょう。何かの問題を解決させるのではなく待合室などでの会話の取り方などを見ればそれは分かることですのでわざわざ試験にする必要がありません。一方、グループディスカッションでの役割とは目的を違えると大変なことになります。今回はそのグループディスカッションの役割についてご紹介します。
グループディスカッションとは?
グループディスカッションとは、即興でチームを組んで決められたテーマと時間で議論を行う試験です。通常の面接試験のように企業の採用担当官と質疑応答をするのではなく、同じ企業を志望する就活生たち…つまり就活における「ライバル」たちと同じ課題に取り組む形式の試験です。
通常、グループディスカッションには4つの役割があり、誰が何を担当するかを決めるところからスタートします。役割の決め方以上に、各役割の内容をしっかり把握しておくことが重要です。なぜなら、役割・役職の意義や内容を把握しないまま仕事をしてしまうと、仕事を台無しにしたり的外れなことをしたりする可能性が高いためです。自分に期待された役割が分からないまま、とんちんかんな行動を取るような社員を採用したいと思う企業はありません。
グループディスカッションにおける役割
グループディスカッションには4つの役割があり、その役割を全うすることが第一の課題となっています。それぞれの役職の名前を知らないという就活生は少ないでしょうが、今回は役職名と分担された役割について紹介します。
司会者
司会者は、最近ではファシリテーターと呼ばれることもあります。「司会者」は文字通り議論の司会を務め、進行を助ける役割を指します。活発な議論を回し、円滑に進行しつつも時間内に結論を出すのが大きな役割です。
自ら意見を述べることはせず、議論が活発になるようにアイスブレイクを主導したり、発言を促したりするのが「司会・ファシリテーター」の役割です。グループディスカッションに参加している人たちの意見を引き出し整理する役割もあるので、最初から最後まで中立でいなくてはいけません。
議論によって出てきた意見を論理的に整理してまとめる役割と聞くと難しい気がしますが、日頃から情報の取捨選択と端的にまとめる練習を行うことで、身に付いてきます。いくら練習しても苦手だったのにファシリテーターになってしまったという方は、ディスカッションがテーマから逸れないように配慮するだけでも良い評価を貰えるでしょう。
タイムキーパー
「タイムキーパー」は名前の通り、時間を管理する役割を担っています。グループディスカッションには時間制限が設けられており、企業によって与えられている時間はまちまちですが短くて15分、長くても60分ほどです。長いような気もしますが、議論のテーマも当日に知らされることがあるので、実際にグループディスカッションをしてみるとあっという間に過ぎ去ります。
時間管理ができないと、社会人として企業で働く中で「だらしない人」「仕事が出来ない人」というレッテルを貼られかねません。ディスカッションに参加したチーム全員がそんな印象を面接官に持たれることを避けるためにも、タイムキーパーという役職があるのです。
タイムキーパーはどのくらいの時間で何をするのが適当なのかを判断する役割を担っており、グループディスカッションにおける一番難しい役職でもあります。しかし、あらかじめ「制限時間が30分なら自己紹介は1分」というように目安を決めておけば、あとは議論中は時間を気にしておけばよいので、前述の「司会者」や後述の「書記」が兼任することがあります。
満足いく結論を出すのは大切ですが、社会人としては期限までにそれなりの結果を出す方が重要です。課題を解決したり結論を出したりするために、時間を計画的に管理するのがタイムキーパーなのです。
書記
書記はディスカッション中の発言や流れをメモに取るだけなので、採用担当官に見てもらえるような能力がないのではないかと考える人もいるでしょうが、実は「書記」という役職は重要なのです。
「書記」が書いたメモから新たな関係性に気付いたり、新しいアイディアを出したりする手助けをする役割を担っています。例えば、発言内容を全て書き連ねたり、箇条書きでまとめたりする方は多いでしょうが、それだけならば誰がやっても変わりません。しかし参加者毎に発言をまとめておくとその人が言わんとしていることの概略図が出来上がります。また、発言の種類によってまとめておくことで議論の目的との位置関係が分かるマトリックスを作ることも可能です。アイディアを出した後にメモを見ながらまとめたり評価したりすることで、発想の偏りを見つけやすくなり、より良い結論を出すことも可能です。
アイディアマン
多くの方が担当する「アイディアマン」は、テーマに応じた意見・案を積極的に発言していかなければなりません。実はグループディスカッションの中で積極的に話をするのはアイディアマンだけで、この役割以外の方は発言するよりも考えを整理してまとめることに徹した方が良いでしょう。
通常、グループディスカッションでは4人から6人の場合が多く、4人の場合はアイディアマンが1~2人、6人であれば3~4人が妥当でしょう。アイディアマンが1人だけではディスカッションが盛り上がらないためチーム全体が採用担当官から良く見られませんので、役職についているからアクションを起こさないとこだわらずに、アイディアマンが詰まったら他の役職の方も積極的に発言しましょう。
グループディスカッションでやりやすい役割は無い
人によってやりやすい役割は違いますので、「この役職に就けば採用間違いなし!」と断言できません。自分に合った役職が何なのかを見極めるために、グループディスカッションの練習を何回か繰り返すといいでしょう。
初めてグループディスカッションのデモを行う方であれば、まずはタイムキーパーに挑戦してみましょう。タイムキーパーは書記と兼任することが多く、文字や記号で表した内容は言葉だけよりも整理しやすいため考えもまとまりやすいという利点があります。発言しない分、議論の流れを第三者的な視点で眺めることができる為、次に他の役職を担当することになっても、どう動けばよいかを観察できます。
タイムキーパーは終始時間を配慮しなくてはいけない立場ですので眠くなることはありません。チームの話し合いがどの段階にあるのかに注意を払いながら、現状をあとどれくらいで切り上げなくてはならないのかを確認し続けなければならないからです。その姿は真面目や真剣であると受け取られることでしょう。
グループディスカッションで面接官が見ているポイントとは
グループディスカッションにおいて、面接官は役割を理解しているかだけではなく、話し合うということに対して耐性があるかということを見ています。
会社に入れば会議や議論に参加する機会が学生の頃に比べると大きく増えますが、議論は言い争っているようで苦手だという人は少なくありません。話し合うということに対する耐性というのは、論じ合うことを恐れないことを指します。そもそもケンカと討論はまったく違うもので、前者は感情的にぶつかり合いますが、討論は理性的に意見を交換し合います。
議論することへの理解は、それまで大学で何をやっていたのかが関係してきます。教授の話と板書をノートに写して試験で優秀な成績を勝ち取ってきただけの人は、企業が求める社員像と違います。良い成績であるに越したことはありませんが、それよりも同級生や大人とどのように意見を交わして来たのかを知りたいのです。
グループディスカッションでは一人が飛び抜けてていても意味がない
よく自慢げに発言をする方がいますが、残念ながら良い印象を残すどころか下手すると「協調性がない」とマイナスの印象を与えることもあり得ます。グループディスカッションは他人を蹴落とす場ではなく、協力して課題を解決する場です。その意図が分からない方は良い企業とはご縁がありません。
一人が突出するよりもチームで何らかの解決策をまとめること、そこに必要な能力が備わっている方が選出されやすいです。
グループディスカッションでは与えられた役割を全うしよう
グループディスカッションには4つの役割があり、各役職を理解したうえで全員と協力することが求められています。ライバルの就活生だからと対抗心を燃やすのではなく、皆でより良い案を導き出すことを念頭に良いグループディスカッションを作り上げてください。