面接の「今までで一番辛かったこと」ってどう答えたら良い?
日々生きていく中で、辛いことや悲しいことはたくさん経験しているでしょうが、その話を面接で「どのように」話すことが良いのかわからない方も少なくありません。
面接で聞かれた時どのように答えるのが良いのか迷ってしまう質問として、「今までで一番辛かったたこと」や「今まで経験した挫折体験」が挙げられます。
この質問に対する回答は、単に今まで自分が経験してきた辛いことや挫折を話すだけではいけません。面接官に対して良い印象を与えるためにも、採用に近づけるような答え方のポイントや、企業がそのような質問をする意図についてしっかりと押さえておきましょう。
面接で「今まで辛かったことは?」と聞いてくる企業の意図
面接の場で企業が求職者に対して、辛かった経験や挫折をした経験を聞いてくる意図としては3つあります。
1 壁を乗り越える力を知りたい
企業は求職者に対し、辛かった経験や挫折をしたことがあるかを聞くことによって、辛い経験や挫折を乗り越える力があるかどうかを確かめています。
仕事は何事も全てが上手くいくわけではありません。時には辛い経験や悲しい思いをすることもあります。ですが、これから先働いていくためには、その「辛さ」や「悲しさ」といったものを乗り越え、前に進み続けなければなりません。その「乗り越える力」があるかどうかを確かめるために、あえてこのような質問を企業はするのです。
2 失敗を力に変えられるかどうかを知りたい
辛い経験や挫折は、成功を目指す過程の中で体験することが多いです。自分の立てた目標に向かって努力をした結果、失敗をしてしまうと辛い思いや悲しい気持ちになります。
そのような失敗をどう受け止めるのか?どのように捉えて、何を学んだのか?ただ失敗をしたという事実だけで終わらせるのではなく、その失敗を自分の人生にどう活かしているのかを確認し、失敗を力に変えるポテンシャルがあるかどうかを見極めているのです。
3 チャレンジ精神はあるのかが知りたい
失敗や挫折を経験することで、辛い体験や悲しい思いを感じることができます。この失敗や挫折というのは「高い目標を達成しよう」という志があるからこそ得られる体験でもあります。普段通りの生活を送っているだけでは、失敗したことはあっても挫折をすることはほとんどありません。そのため、何かにチャレンジをしようと高い目標を立てた者しか挫折を経験することができません。
仕事における目標に向かってどのくらい頑張れるのか、チャレンジしようと思うのかといったチャレンジ精神の有無について把握するために聞く場合があります。
面接で「今まで辛かったことは?」と聞かれたときの答え方例文4選
面接で実際に辛かった経験や挫折体験を答える時には、いくつかポイントがあります。それぞれのポイントをしっかり押さえ、本番ではスムーズに答えられるようにしておきましょう。
1 ただの苦労話にならないようにする
企業が知りたいのは、求職者がどのくらい辛い経験をしたのかではなく、辛い体験や挫折を経験することによって身につけた「立ち直る力」を知りたがっています。そのため、ただの苦労話をしても良い印象を与えることはできません。
例文1
私は大学時代、所属していたサークルで部長を務めていました。初めは比較的仲が良くまとまっていましたが、設立したばかりのサークルだったため、後々メンバーの間で確執が生じていきました。そして、後輩が入ってきた時にその確執はより大きなものに変化したのです。それは、サークル活動に対する取り組む姿勢の差が原因でした。
一時期は、このままではサークルが崩壊してしまうと感じ、メンバーを集めて話し合いを何度も行いましたが、なかなか活路を見出すことができず、それぞれの関係はより険悪になってしまいました。そこで、私はただ闇雲に話し合いをするのではなく、それぞれが思っている問題点を冷静に洗い出すことによって、より実のある議論の場をつくりました。
お互いが思っていることを素直に言うことができる場を作ることで、相手が何を思っているのか、それはどうすれば解決できるのかを考える機会を与え、打開策を模索しました。
その結果、時間はかかりましたがメンバーそれぞれがお互いを理解することができ、設立当初のような仲の良さを取り戻すことができました。
2 辛かったことを克服した経験を話す
ただ辛かったことを話すだけでは評価はされません。辛かった経験にどのように向き合い、対処をしたのかといった「克服経験」に焦点を当てて話すとより良いでしょう。
例文2
私は幼い頃からスポーツが大好きで、学生時代はサッカーをしていました。ポジションはフォワードを任されていて、試合ではいつも積極的に相手ゴールに向かって攻めていました。
しかし、全国大会出場のための予選を兼ねた大切な試合の前に膝のケガをしてしまいました。毎日練習をしてようやく掴み取ったレギュラーの座でしたが、このケガをキッカケに控えメンバーに回り、卒業まで一度もレギュラーとして試合に出ることはありませんでした。
その後は大好きだったサッカーも嫌になり、一時期はボールも触っていませんでした。ですが、日が経つにつれてサッカーへの思いは強くなり、改めてサッカーが好きだと思うようになりました。
選手としてはもうプレーをすることは難しいですが、少しでもサッカーと関わりたいと思い、今は地元の少年サッカーチームで子供たちにサッカーを教えています。自分では成し遂げられなかった全国大会出場を、今の教え子たちならきっと成し遂げてくれると信じ、日々サッカーと子供たちと向き合っています。
3 辛かったことがない時は「ない」と言い切る
誰もが全員平等に辛い体験や挫折を味わっているわけではありません。辛いことや挫折といった感情は人それぞれ感じ方が違うため、同じ出来事でも挫折と捉える人もいればそうではないと捉える人もいます。
もし、今まで生きてきた中で辛い体験や挫折を経験したことがなければ、思い切って「ありません」と伝えることも大切です。面接では嘘をつくことは一番してはいけません。本当にない時は、素直に「ない」と答えましょう。
しかし、「ない」と答える場合は、周囲から見ると失敗に思えることでも、私はとても良い経験になったなどと、ポジティブなイメージが持てる答え方をするようにしましょう。
例文3
私は挫折経験で思い浮かぶことがありません。今までどれだけ努力しても部活動ではレギュラーになれず、大学受験も失敗し一浪しました。予備校時代も思うように成績が伸びず、希望していた大学には入れませんでしたが、滑り止めで受けて合格した大学に行きました。
他の人が聞くと、今までの私の経験や体験を「挫折」と捉える人も多いと思います。ですが、私はこのような経験も全て「経験ができた」とポジティブに考えてきたので、特に挫折をしたと思ったことがありません。1度経験することによって次の対策や失敗した原因を知ることができるので、より自分にとっては良い経験に繋がっていると思っています。
4 辛かったことがない時は今後の挫折の可能性について話す
挫折経験が思い浮かばない場合は、ハッキリと「ない」と答えることも良いですが、今取り組んでいることが今後の挫折となりうる可能性もあります。
「ない」とハッキリ言うことにためらいがある人は、今後の挫折の可能性について答えると良いでしょう。
例文4
私は今まで大きな挫折というものを経験したことがありません。しかし、現在目標としている研究中の論文で賞の獲得ができないときは、人生で初めての大きな挫折を感じると思います。
入学してからずっと研究を続けてきたものなので、この論文にかける思いはひとしおです。なるべく挫折を経験しないよう、今よりもさらに集中して取り組んでいきます。
面接で辛かったことをすぐに答えられるように自分なりの対処方法をしっかり準備しておこう
就活中、面接で辛かったことや挫折経験について尋ねられたとき、ただの辛いだけのお話や挫折をしたという事実だけを伝えるだけでは採用担当者の心には響きません。辛かった経験や挫折をしたときに「その後どう行動したのか」「どのように対処したのか」といったことまで話す必要があります。なぜなら、企業が知りたいのは応募者の「壁を乗り越える力」や「チャレンジ精神の有無」だからです。
実際に面接で聞かれた時は、ただ話をするだけではなく、自分なりの乗り越え方や対処方法を伝えるように事前準備をしておきましょう。