面接のドタキャンは実際にはよくある話
面接でドタキャンするのは良くないことは多くの人が理解しているところですが、実際のところ、何かしらの理由でドタキャンをしたことがあるという就活生や社会人は多いもの。
ドタキャンが失礼なのは重々承知だとしても、体調不良や緊急の法事、不慮の事故など様々な理由やトラブルが起これば、対応に追われて面接をキャンセルにせざるを得なくなります。
万が一、面接をドタキャンする前にできることやマナーを考えてみましょう。
ドタキャンはどこからがドタキャン?
よく耳にする「ドタキャン」という言葉は「土壇場でのキャンセル」の略語と言われていて(諸説あり)、基本的には予定が組まれていたのに直前でキャンセルすることを意味します。
ドタキャンは「無断欠席」「予定放棄」の意味で使われる場合もありますが、完全に連絡なくキャンセルとして扱うのではなく、面接当日や前日にキャンセルを入れることを指すのが一般的です。
どこからが「ドタキャン」に該当するかは人や状況により様々ですが、一般的には急な変更によって関係者に迷惑がかかるようなら「ドタキャン」と考えるべきです。絶対にダメということではなく、事情を勘案した上で対処が決定されるのが普通です。
面接でのドタキャンによるリスク
リスクを知っていると、ドタキャンを回避しようとする心理が働くため、ドタキャン防止につながります。面接をドタキャンすると関係者には迷惑がかかるものですが、それによってどのようなリスクがあるのか考えておきましょう。
1 信用を失う
面接をドタキャンすることによる最大のリスクは「信用を失う」ということです。どうしようもない事情があることは誰もが理解できますが、キャンセルになる理由やタイミングによっては、面接相手の信用を失うことになりかねません。ビジネスの世界では信用は命であり、高くつきますので、信用を失うことで商談が上手くいかなかったり、また就職活動や転職活動がうまく進まなくなることもあります。
2 チャンスを失う
ドタキャンは機会を失うリスクを生じます。その日時に面接が入っているのは、互いの都合を考慮したうえでそこが最良の日時であるからです。それを動かすと、次に同じ内容の面接ができる時間がすぐに取れない可能性があります。
ビジネスはスピードやタイミングが大事な面がありますので、面接の機会を一度逃すと、次の機会が回ってくるまでは予想外に時間のかかることもあり、競合などに負けてしまうこともあります。
就活の場合、ドタキャンをするとそこで選考が止まってしまうこともありますので気を付けましょう。
登録型の場合も注意が必要!
派遣会社などに派遣社員やアルバイトとして登録している場合は、面接のドタキャンが相次いでしまうと記録として情報が残っていることもあります。
派遣先(派遣提案先)にまでその情報が伝わることはあまりありませんが、素行に問題があるとして良い仕事が回ってこないこともあります。職務経歴書などに書かれることはありませんが、希望する仕事がなかなか回ってこなくなる可能性も考えられるので注意が必要です。
3 余計な時間を使い生産性が低下する
面接選考のドタキャンが発生してしまうと、会社からすればその面接が予定されていた時間がポッカリ空いてしまうことになります。
当然、その他の仕事などをあてはめてできるだけ無駄がないようにしますが、そのためにする必要がなかった仕事の調整や、面接の予定の再設定などの業務が発生します。ドタキャンが生じなかったなら発生しなかった仕事や、非効率な状態で仕事をすることになり、生産性が低下します。
4 悪いクセがつく
ドタキャンをする人は、繰り返しドタキャンをしてしまいがちです。最初は仕方なくドタキャンをするのですが、だんだん慣れてくると、連絡さえちゃんとできれば大丈夫だと思い込んで、ちょっとした理由でドタキャンをする悪いクセがつく場合もあります。
多少自分に不利な状況があった場合にドタキャンしてしまう人は、気持ちが目の前の物事から逃げやすくなってしまっているので注意しなくてはなりません。
面接でドタキャンせざるを得ない時の最低限のマナー
面接選考をどうしてもドタキャンせざるを得ない場合のマナーについても確認しておきましょう。
1 連絡はできるだけ早めに行う
予定をキャンセルせざるを得ない事情が発生した場合は、できるだけ早く関係者に連絡を入れるようにします。大事な案件などの場合、上司に確認して代役を立てるべきかなど相談しましょう。
面接のキャンセルを連絡する場合は、メールなどで一方的に連絡せず、できるだけ電話など速報性があり、直接話せる方法で連絡することが大切です。メールやチャットなどによる連絡は、関係者が返信をする必要があったり、確認が遅れた場合には、より大きな迷惑となる場合もあるので、電話が通じない時に限定し、その場合でも後から電話でも連絡するのがマナーです。
連絡をする時間は、基本的には相手側の業務時間内に電話連絡をします。業務時間外に連絡を入れる場合は、メールやSNSなど、応答タイミングを選択できるような手段とし、業務時間に入ってから再度連絡をしてください。
直接、担当者に連絡が取れない場合は伝言をお願いする方法もありますが、この場合でも後から自分で連絡を入れることは忘れないでください。
2 面接の再設定は自分から申し出る
仕方のない事情があったとは言え、ドタキャンをする以上、非は自分にあると考えなければなりません。面接日時の再設定については、自分の方から申し出て、なるべく相手の予定を優先して自分の予定を合わせていくようにしましょう。
自分と相手の間で、相手の方が元々立場が上である場合には、自分から次のアクションを提案していかないと話そのものが消えてしまうこともありますので気を付けてください。
3 丁寧な姿勢や態度を心がける
ドタキャンをせざるを得ない状況だとしても「~の事情により、本日の面接はキャンセルとさせてもらいます」というような決定事項として連絡するのは相手に失礼です。
「~の事情により、本日の面接をキャンセルさせていただきたく、よろしいでしょうか?」のように相手に伺う形を取るのが最低限のマナーです。意味するところは同じでも、態度の違いで印象は大きく変わりますので、言葉遣いなどには十分注意しましょう。
4 謝罪と感謝を忘れずに
ドタキャンの連絡をする場合は、重々に相手に対して謝罪をし、また面接のリスケジュール(再設定)をしてもらった場合には感謝の言葉もたくさんかけるようにします。
また、次回直接会う機会があれば、一言ドタキャンがあったことに触れ、謝罪と感謝を伝えることを忘れないようにします。
ドタキャンの理由はどこまで説明するべき?
ドタキャンをする場合には、正当と言える理由がある場合もあればない場合もあります。どこまで理由を説明せざるを得ないかは一概には判断できません。面接の相手側が納得してくれるラインを考えて連絡することが大切です。
体調不良の場合
「体調不良」くらいであれば、ある程度の事情を正確に告げた方が理解はしやすいですが、「家庭事情」「会社事情」などの場合は求めがない限り詳しい事情を話す必要はありません。
正当な理由がない場合
「遅刻しそうになったのでやる気がなくなってしまった」など、特に理由もなく面接のドタキャンを考える就活生は意外と少なくありません。
こうした正当とは認められないような理由でドタキャンする場合、そのまま理由を伝えるよりは何か理由を作って連絡した方が良いでしょう。
他社の内定が決まった・選考が入った場合
就職活動の面接では、「他社に内定が決まった」「他社との選考とバッティングした」等が面接辞退の理由になる場合があります。
この場合、できるだけ正直に事情を伝えるようにした方が、電話口でその後の選考への参加意欲を確認できて互いにスッキリしますし、その後のやり取りも煩わしくならずに済みます。
面接はドタキャンをしないことがベスト
もちろん、ドタキャンをせざるを得ない場合のためにマナーを知ることも大事ですが、「ドタキャンをしない」ことこそが最もマナーの良いことであることは間違いありません。
ドタキャンを発生させないためには、積極的なタイムマネジメントを徹底することや、必要な調整や交渉を恐れないことが大切になります。
ビジネスマナーにおいて学生は誤解しやすいですが、マナーは周囲に迷惑をかけず、円滑に業務や取引を行うためのものであり、いい人に見せるためのものではありません。調整や交渉をガツガツ行うと「嫌な人」「面倒な人」に思われるのではと心配する人もいますが、マナーに対する考え方が根本的に間違っています。
周囲にいい顔をしていて、結果的に予定が重複してしまうと、自分も困りますし関係者にも迷惑がかかってしまいます。何のためのビジネスマナーかをよく考えて、ドタキャンが極力なくなるようにしましょう。
ドタキャンになった場合も誠意を尽くそう
面接におけるドタキャンは決して良いことではありませんが、事情によってどうしても発生してしまうものです。ドタキャンに関するマナーも知っておいて、ドタキャンをせざるを得ない場合は誠意を尽くして対処するようにしましょう。
例え自分が思っていたような結果にはならなかったとしても、今後その積み重ねが社会人としての信用を守り、コミュニケーション能力を高めることにつながっていくでしょう。