「どんな社会人になりたいか?」は面接で聞かれる定番の質問
就活の面接でよくある定番の質問が「どんな社会人になりたいか」というもの。ただでさえ緊張してしまう面接という場で、面接官から高く評価されるような回答をするのは簡単なことではありません。しかし、下手に上辺だけの回答をすれば、面接官に見抜かれてしまい面接を落とされてしまう可能性もありえます。「どんな社会人になりたいか」の質問の意図や、面接で聞かれる前に準備しておくべきこと、答え方のポイントを解説します。
「どんな社会人になりたいか」と質問する企業の意図とは?
企業や面接官が学生に「どんな社会人になりたいか」と質問することにはいくつかの意味がありますが、最大の理由は、学生がこうなりたいと思い描いている社会人像と、企業側の方針や風土が合っているかを確認するということです。
企業によって経営方針や教育方針、または風土や雰囲気は全く違います。また、社会人として企業の中で将来何ができるかということも企業によって様々です。
例えば、新しいことをどんどん取り入れて斬新に改革しながら進化し続けるようなイノベーション思考が強い企業もあれば、創業当時から守り抜いてきたサービスや品質を継承していくことを大切にしている企業もあるでしょう。また、社会貢献等を優先に考えている企業もあれば、顧客の発展に力を入れていたり、従業員の教育に力を入れている企業がある等、企業や経営者の方針によって異なります。
新しいことをどんどん取り入れて斬新に改革し進化したいという思考が強い企業ならば「新しいことに積極的にチャレンジにしていく社会人になりたい」といった回答、従業員の教育に力を入れている企業であれば、「常に自己研鑽をして成長し続ける社会人になりたい」というような回答など、その企業の風土を十分に理解した上で答える必要があります。
「どんな社会人になりたいか」の回答理由は答えられるようにしておこう
どこの企業の面接であっても、定番の質問に対しては「人から信頼される社会人になりたい」「人の役に立つ社会人になりたい」「人を幸せにする社会人になりたい」といった、それなりに評価される定番の回答というものがあります。定番の回答を準備しておいて質問されたら答える、ということはそれほど難しいことではありません。しかし、重要なのはなぜそうなりたいのかという理由です。
「なぜ人から信頼される社会人になりたいと思っているのですか?」と質問された時に、信頼される社会人になりたい理由を明確に回答できなければ、それは回答できていないのと同じことです。
「どんな社会人になりたいか」は自分の気持ちに正直になると分かる
面接で質問された時にどんな回答をすることが良いかを考える前に、まずは自分自身の本音に耳を傾ける必要があります。「よく考えたが何も思い付かなかった」という学生がいますが、それは何も思い付かなかったのではなく、自分自身と向き合いきれていなかったり、深く掘り下げることができていないということです。
自分自身と向き合った結果が「人から信頼される社会人になりたい」ということであれば、あとはなぜそう思ったのかを自分自身に聞いてみて下さい。「人から信頼される社会人はカッコ良いと感じた」「人から頼りにされるくらい専門的な知識を身に付けたい」など、いろんな答えが出てくるでしょう。その答えを見つけたら、あとはそれを言葉としてきちんと話せるようまとめ、面接官に回答すればよいのです。
「どんな社会人になりたいか」の答えは企業によって使い分けることも大事
面接で「どんな社会人になりたいか」と質問されたことに対して、面接を受ける全ての企業に同じ回答をしてはいけないわけではありません。あなた自身が「人から信頼される社会人になりたい」と思っているのであれば、素直にそれを回答すれば良いだけです。
ただし、なぜ人から信頼される社会人になりたいと思ったのかという理由については、面接を受ける企業の思考や方向性等によって答えを使い分けるのがベターです。
例えば、企業がモノ作りをしている会社の場合、「人を幸せにする社会人」と「モノ作り」をつなげて、「学生の時にボランティアで子供たちに○○を作って幸せな顔を見た時に喜びを感じたので社会人になっても人を幸せにするような社会人になりたい」というようなエピソードを理由として回答できると高く評価されます。
「どんな社会人になりたいか」の答えは一つに絞らないといけないなんてことはない
企業の面接で「どんな社会人になりたいか」と質問された時のベストアンサーを求めるあまり、1つの回答に絞ってしまいがちですが、回答は1つに絞らないといけないということはありません。
例えば「人から信頼される社会人になりたい」と「常に成長し続ける社会人になりたい」という気持ちがどちらも強いのであれば、両方伝えてしまいましょう。「どんな社会人になりたいか」と質問された時に、回答が複数あるのであればその旨を伝えてから回答するとより好印象です。
ただし、複数回答する場合はその数だけ回答する量が増えます。長々と回答するのは面接官からの評価をダウンさせてしまいますので、コンパクトにまとめましょう。
また、2つの回答を合わせて1つにして回答してしまうという手もあります。「常に成長し続けるとともに人から信頼される社会人になりたい」のような回答の仕方です。この場合、「常に成長し続ける」ことと「信頼される」ことに密接な関わりがあるようにアピールするとよいでしょう。
「どんな社会人になりたいか」の答えは自分の気持ちに反するのは絶対NG!
上手に回答したいという学生の気持ちは面接官も重々承知していますが、自分の気持ちに反するような回答をするということは、面接の回答で嘘を言っているのと同じです。様々な角度から質問されているうちにうっかり自分の気持ちに反する回答をしていることが見抜かれてしまうケースもありますし、全く別の質問や、面接の中での雑談に近いような会話の中で見抜かれてしまうことも珍しくはありません。
上手に回答することよりも、まずは自信を持って正直に回答できる内容を準備しましょう。
「うわべだけの回答」よりも「本音の回答」をする方が良い
企業の面接官は面接に関してはスペシャリストです。学生も学生として数十社の企業の面接を何十回と受ければ面接に慣れるかとは思いますが、企業の面接官が対応している面接の数は、学生が受ける面接の数とは比べ物になりません。
多くの面接を担当している面接官であれば、多くの学生から多くの回答を聞き出しているため「うわべだけの回答」なのか「本音の回答」なのかはわりと簡単に見抜かれてしまいます。うまく見抜けない場合、様々な角度から質問してくるでしょう。
その質問の中のいくつかはあなたが想定していなかった質問である可能性が高くなります。つまり、そういう質問をされるとは思っていなかったから回答の準備をしていない、ということになります。
回答の準備をしていないということは、その場で考えて回答する必要があります。とはいえ、その場で考えると言ってもディスカッションではないので考える時間は3~4秒です。面接のスピードや質問のテンポによっては考える時間は1~2秒もないでしょう。
想定していなかった質問に対しての回答をその場で数秒の間に考えて回答することが求められた時、「うわべだけの回答」をしていた人にとって回答することは至難の業です。しかし、「本音の回答」をしていた人は、どんな質問をされても最後まで本音の回答を貫き通せば良いので、回答することは難しいことではありません。
「うわべだけの回答」をして突っ込まれてボロを出すよりも、回答の仕方が上手くなくてもきちんと自身の意思を伝えた方が面接官の評価は確実に高くなります。
「どんな社会人になりたいか」の質問は他の人と差別化を図ると有利になる
「どんな社会人になりたいか」のような就活の面接では定番の質問に対しては、多くの学生が同じような内容の回答をすることが想定されます。
多くの学生の面接を担当している企業の面接官は同じような内容の回答を多く聞いているため、せっかく上手に回答しても印象が薄くなってしまう可能性は十分にあります。無理やり特殊な回答を準備する必要はありませんが、回答の理由について面接官の印象に残るような興味深いエピソードがあるのであれば、それを回答に加えて準備しておくと有利になるでしょう。