面接で尊敬する人を聞かれた時の答え方は?
就活の面接における質問項目の定番が「あなたの尊敬する人は誰ですか?」という質問です。これは新卒だとしても、転職だとしても、同様に質問されることの多い内容です。この質問に対して負担感を感じる人も多いですが、ポイントがわかっていれば恐れるようなものではありません。
ポイントを押さえた回答は、選考で有利に働くことになりますし、採用後のミスマッチなどを無くすことにもつながります。逆に下手に繕った回答をすることによって、自分と相性の悪い企業への内定を促す可能性もありますので、極力、正直な回答が求められます。それでは面接での「尊敬する人」に関する回答について、ポイントや例文を見ていきましょう。
「尊敬する人は?」の質問で面接官は何を見ている?
就活の面接で面接官は、あなたの尊敬する人を知りたい訳ではないということにまずは注意しなくてはなりません。「じゃあ、何で聞くの?」となるのですが、面接官としては尊敬する人そのものではなく、尊敬する人を通して見える価値観や人間性に着目しているのです。
ですから、クイズのように「あなたの尊敬する人は?」「野球選手の○○選手です!」で終わってはいけません。その理由や、自分に与えている影響を明確に述べる必要があります。
尊敬する人が無数にいたり、逆に思い浮かばないことも少なくありません。この質問は頻度も非常に高いので、回答にふさわしい一人を絞り込んだり、探したりすることは面接やエントリーシートの前の事前準備として有効です。急に問われて慌てないよう、事前にしっかりと対策しておきましょう。
面接で「尊敬する人は両親です」という答えはNG?
尊敬する人が「両親」、もしくは「父」「母」という回答をする学生は非常に多く見られます。就活情報の中にはこの回答はNGとしている声もありますが、必ずしもそういうわけではありません。面接官の中には、「両親」という回答にNGな人ももちろんいますし、逆に好印象を持つ人もいます。しかし、強いて言えば、特別な勝算が無いのであれば避けておいた方が無難であることは間違いありません。
両親を尊敬するのは当然良いことであり、悪いことではありません。そのように回答されれば、良い家庭、良い両親に恵まれて育ったのだという印象は与えますが、面接官は家庭環境や両親の人格を聞いているのではないことに注意が必要です。
面接官が行っているのはあくまで採用面接ですから、採用に関連した回答を用意しなくてはなりません。尊敬する人の存在が志望動機や入社後の働きに影響を与えないのであれば、回答する意味はないものと思ってください。
教育関係などの一部業界を除くと、両親を尊敬する理由は企業活動と縁遠いことが多いので、挙げる前によく考える必要があることは覚えておきましょう。
尊敬する人別に面接でアピールするポイント
前述通り、採用面接では「尊敬する人」は「採用に関連した回答」であることがポイントです。よく挙げられる人物像を元に、ポイントを整理してみます。
1 育ててくれた両親
両親については「頑張って自分を育ててくれた」など感情的な理由を挙げる人が多く見られますが、客観性と具体性が大事です。そして、そこから生じている自分への影響が、その企業を希望することとどのようにつながっているのか、道筋をきちんと作るのがポイントです。
2 いつもそばに居てくれる友人
身近な友人を尊敬しているという人も最近は多いです。魅力的な仲間がいることは素晴らしいですが、見えている世界が狭いと思われる場合もあります。ですから、客観的に誰もが共感できるような魅力があるか、エピソードがあるかをよく検討することが大事です。
3 学生時代の恩師
学生時代の恩師を尊敬する人として挙げることも多いです。しかし、その恩師のことを面接官は知らないことがほとんどですから、両親や友人の例のように、客観的に納得感のあるエピソードであるか、しっかり確認するようにします。
4 お世話になった会社の先輩・上司
転職の場合には、会社の先輩や上司という場合もあります。この場合、プライベートの付き合いやお酒の席のエピソードよりは、ビジネスの現場に近い内容が良いです。具体的なエピソードやその影響が見えれば、職業人としてのあなたに関しての期待度は高まります。逆に、会社の考え方と全く合わないエピソードの場合はマイナスとなることもありますので気を付けてください。
5 歴史上の偉人
歴史上の偉人は尊敬する人としてよく使われます。よほどマニアックな人物や評価の割れる人物で無ければ、悪い印象は与えませんし、イメージが共有しやすくなります。ただし、他の希望者と内容が重なりやすいため、着眼点に注意し、自分のPRしたいイメージとズレがないように注意します。
6 誰もが知る有名人
有名人を尊敬するのは悪いことではありません。ただし、有名人にありがちな失敗に「好き」と「尊敬」を混同してしまうことがあります。その有名人の良さや、自分がいかに好きなのかをエピソードに盛り込み、尊敬の理由がボヤけてしまわないように注意が必要です。また、マイナーな有名人や、好き嫌いが強く別れる有名人は避けた方が無難です。
面接で尊敬する人について聞かれたときの回答例
面接で尊敬する人について質問された場合の参考に、いくつか回答例をご紹介します。上記のポイントを確認しながら読んでみてください。
恩師を挙げる場合
私の尊敬する人は、大学時代の恩師です。ゼミではいつもわかりやすく論点を整理しながら、その分野の最新の知見を紹介してくれました。先生の話してくださったお話の中で最も印象深かったのは「技術や学問は突然進歩しない。毎日見えても見えなくても一歩ずつ進んでいる。知らずに足を止めた者は置いていかれる」というお話でした。私も日々、最新の技術や知識にキャッチアップしながら、御社の中で業界の最先端に挑戦したく思います。
歴史上の人物
私が尊敬するのは、明治維新の立役者となった坂本龍馬です。その理由は、剣豪として十分に名を馳せたにもかかわらず、西洋式の銃の性能を知るや否や、すぐに刀を銃に持ち替えたその執着のない姿勢です。それが時代を変えることにもつながったと思っています。私も本当に良いものを知り、そして素早く乗り換えることができる人になりたいと思っています。御社は従来の常識を覆すような商品も多く開発されていて、非常に興味深く感じております。
その他の有名人
私が尊敬するのは、芸能人の○○さんです。○○さんは多くの番組で司会をされましたが、どの番組も明るく盛り上げ、共演者の方々の個性を引き出していました。私もそのような姿に憧れ、大きなリアクションで場を盛り上げ、周囲の魅力を引き出せるようにいつも努力しています。御社はコミュニケーションを大事にされていると伺いましたので、ぜひ私も御社の雰囲気づくりに貢献できたらと考えております。
「尊敬する人がいない」人は面接でどう答えたらいい?
ここまで読んできて、該当するような尊敬する人が浮かばないこともあるでしょう。この場合、「尊敬する人はいません」と正直に告白しても良いのでしょうか。
基本的に「尊敬する人がいない」というのは、「他人から良い影響は受けていない」ということになり、自己中心的な人ととらえられてしまいます。大学生なら少なくとも20年以上、転職の場合はそれ以上の年数、尊敬できるような人に会えなかったというのは、人との関わりを避けていたと捉えられる可能性があります。そして、企業側がそういう人と一緒に働きたいかと思うのかといえば、「NO」であることは明白です。
内定だけを考えるなら、尊敬する人から理由まで、全ての筋書きを作ってしまうことはできなくはありませんが、面接では語る時の熱意や態度などからも嘘は読み取れてしまうものです。ビジネスにおいて信用は非常に大事なことですから、嘘が見抜かれるようならまず落選は免れません。
もし、「尊敬する人」と言い切れる人が本当にいないのであれば、身近で認めている人からもう一度考えてみたり、偉人についての本などを読むことをおすすめします。
面接は企業が「尊敬する人」を問う理由を理解して臨もう
就活の面接で尊敬する人を問うことは採用活動です。ですから、尊敬する人が誰かということよりも「採用したい人物なのか」を面接官が見ていることを忘れないでください。
- 質問の意図を汲み取れるのか
- 質問に対して適切に回答ができるのか
- その上で価値観が合う人物なのか
尊敬する人を質問することで、面接官はこれらの3点を読み取ろうとしています。価値観の合う・合わないは最終的には相性ですが、その前の2つについては責任分担ですから、正しい考え方をもって回答できるように準備しておきましょう。
その人物と明確な理由、そして受けている影響が、客観的に理解できるように内容をまとめておくことが大切です。そして、敬意がきちんと伝わるよう、真摯な姿勢で熱意をもって伝えてください。