エントリーシートは「手書き」しよう
エントリーシート(ES)は履歴書と共に、就職活動をするうえで欠かせない重要な書類です。履歴書だけでは分からない就活生の人柄や中身を知ってもらうエントリーシートですので、せっかくの自分を表現する場で手書きをしないということは何とももったいないものです。また、手書きの方が人の手による温かみ・情熱を感じさせるという意見もあります。
今回はエントリーシートを手書きで書くべき理由を中心に、エントリーシートの意義や間違えてしまった場合の対処法などを併せて紹介します。
エントリーシートとは?
エントリーシートは履歴書とは異なり、あなたの資格や経歴などを見るものではありません。履歴書の中にもエントリーシート同様に志望動機や趣味などの欄が用意されていますが、それだけでは就活生の人柄や性格を推し測ることは難しく、やはりエントリーシートによる志望動機以外のオリジナリティあふれる自己PRも含めて選考するのです。
簡単に言うとエントリーシートは自分の魅力や熱意といった部分を会社に売り込むための「企画書」で、履歴書は自分のことをまとめた「要約」であるといえます。この2つの違いを理解し、それぞれの売りを見極めることが重要です。
エントリーシートと履歴書を書くうえでの注意点
エントリーシートは企業に売り込むための「企画書」で、履歴書は自分の経歴などをまとめた「要約」と紹介しましたが、この二つには一貫性が求められます。履歴書で「自分の長所は忍耐力のあるところだ」と書いておきながら、エントリーシートでは「私の短所は飽きっぽい性格だ」と書いてしまうと、企業の採用担当に矛盾を感じさせてしまうので内定・採用を得ることが難しくなります。
履歴書では「やってきたこと」、エントリーシートでは「やってきたことを魅力的に表現する」書類と思って作成しましょう。例えば、履歴書には「日本各地を巡り見識を深めた」と書くのであれば、エントリーシートにはどのようなところに行きどのような魅力を感じたのかをストーリーとして書くなどの方法が考えられます。
エントリーシートの主流は「手書き」
就活を始めてから初めてエントリーシートを見たという方が大半で、それまでに書いたことがあるという学生はほぼいないでしょう。そのため手書きでエントリーシートを1枚作成するには2~4時間かかると言われており、多くの就活生はESを30枚ほど書くのが一般的ですので、書くだけで膨大な時間がかかることは疑いようもない事実でしょう。
単純計算しても30枚×2時間で60時間もかかると分かるにもかかわらず、エントリーシートは手書きが主流となっています。エントリーシートは人柄を表現するという意義があるため経歴を見る履歴書よりも自由度が高く、手書き・PCどちらで作成しても良いとしている企業が多いのに、手書きが主流なのはなぜなのでしょうか。
エントリーシートで「手書き」を薦める理由
エントリーシートを手書きすべき理由は「自分らしさを表現する」ためです。自分らしさ・オリジナリティの表現を不得手とする就活生は多いのですが、採用担当官が志望者にお祈りメールを送るかどうかを決めるのはこの部分だといっても過言ではありません。
手っ取り早く自分らしさを表現できるのは、パソコンよりも手書きです。パソコンではフォントの中で表現するしかなく、そのフォントの違いも印刷業界やフォント好きの採用担当でもなければ違いが分かりにくいです。例え少々個性的な字を書いたとしても、中身が伴っていれば「ああ、あの人か!」と記憶に残る可能性が高くなります。
エントリーシートでオリジナリティを見せるのはとても難しいですが、「手書き文字」を利用することで特別な準備がなくても自分らしさを表現できます。もちろん「内容が伴った」文章を書くことが一番重要です。
エントリーシートを手書きするときの注意点
エントリーシートを手書きで作成する場合、怖いのが誤字脱字ですが他にも注意しなくてはいけないポイントがあります。読みやすいESを提出するために気を付けたいポイントをいくつか紹介します。
注意点1・丁寧さ
字が下手なのと、字が乱雑なのはまったく別です。字が下手でも丁寧に書こうと努力することは可能です。その基本的な努力もせずに雑な字を書いてエントリーシートを書き上げて提出してしまうと、企業としては「第一志望じゃないのかな?」「滑り止めの為にとりあえず受けたのかな」と感じてしまいます。文字のバランスを意識して、教科書体をイメージしながら書くと綺麗でシャープな印象の文字になるでしょう。
注意点2・文字の大きさ
文字を習い始めた小学生の頃、文字のバランスが崩れていたり文字の大きさがバラバラだったりする文章を書いたことがあるでしょう。就活生であれば、1つの欄に書く文字の大きさがバラバラという極端な例も少ないとは思いますが、小さすぎる文字は見づらいですし余白を無くそうと大きく書いた文字は悪印象を与えます。
小さすぎる文字じゃないと欄に入らないという場合は、話のとっかかりとなる部分だけを抜き出して、他の枝葉末節は面接時に話すようにしましょう。また、大きすぎる文字は空白を恐れずに適切な大きさで書くようにしましょう。
注意点3・改行
エントリーシートを手書きで作成していると、あれもこれもと書きたい内容を欲張ってしまって改行するスペースすら取れない時があります。しかし文字をギチギチに詰めて改行もない長文を書いてしまうと、一体何が大事なのかが分かりませんし見づらいことこの上ないので、適宜改行してください。手書き文字は、パソコンで作成する時のように適度に文字間隔や行間が空いているわけではないことを意識しましょう。
手書きエントリーシートで書き間違えた場合の対処法
エントリーシートに限らず、履歴書でも悩むのが間違えたときの修正・対処法です。結論から述べると「一から書き直す」しかありません。基本的に訂正印を押して修正しません。修正テープや修正液などもってのほかです。
企業によっては予備のエントリーシートを貰えますが、基本的には1枚しかもらえませんし、面接までは何が起こるか分かりません。そのため、書き損じをしない為にあらかじめコピーをとって練習しておくことをオススメします。本番は1文字1文字を写経するような冷静さと緊張感をもって書くとミスを減らせるでしょう。
就活のような長期戦では常に気を張ることは難しいため、急な雨でバッグの中に入っていた書類が濡れてしまったり席を立った拍子に飲み物をこぼしてしまったりといった、思わぬアクシデントに見舞われる可能性が高くなります。1枚しかエントリーシートを配布されていない場合は、担当の方に一報を入れて新たにエントリーシートを貰ったり、訂正の仕方について伺ったりしましょう。
エントリーシートの主流は手書きだけど、パソコン作成でも問題ない
パソコンでエントリーシートを作成しても、何ら問題はありません。むしろIT企業ではパソコンがどれほど使えるのかという点を見るためにも、手書きのESよりも重視するという会社もあるようです。また、パソコンなら文章の推敲を簡単に出来ますし、字が下手でも気にしなくていいというメリットもあります。複数の企業にESを書く場合は簡単にコピーできるので、手書きのときのようにエントリーシートを一から書き上げる時間と労力が大幅に短縮できます。浮いた時間に面接試験対策などの就活における作戦を練ることも可能ですので、大変魅力的でしょう。
最近では「A4用紙1枚に自由に自分を表現しなさい」というエントリーシートの提出を指定する企業もありますので、アナログとデジタルのどちらが優れている、どちらが採用に有利かという概念自体が段々と薄れてくる可能性もありますので、企業にとって魅力的な「オリジナリティ」を表せるほうを選びましょう。
エントリーシートを手書きすると企業への強力なアピールになる
現在、手書きエントリーシートが主流にあるのは、企業への強力なアピールとなる「自分らしさ」を手っ取り早く表現しやすいからという理由があるからでしょう。自分の持つ魅力を最大限に活かして企業に売り込む就活の中でも、特にエントリーシートという書類は自分の何が志望企業にとって利益になるのかを冷静に自己分析しなくてはいけないため、後々会社に入ったあとも役に立つ能力です。
エントリーシートではそうした「自分らしい企画書」を作る準備体操だと思って真剣に取り組んでみてください。