そもそもインターンって何?
インターンは正式名称を『インターンシップ』と言い、企業が学生に一定期間お試しで働く機会を提供する制度です。文部科学省のインターンに関する資料によると、インターンを実施している企業は全体5割強で、実施企業のうち半数以上はインターン生を独自に募集しています。
企業側のインターンを実施するメリットとして、早い時期に学生とのコンタクトが取れることでミスマッチを防げるという点が挙げられます。企業側が学生と接する機会と言えば、企業説明会や採用試験・面接の時くらいでしょうか。その回数は少ないです。しかし、インターン生を受け入れることで早いタイミングでコンタクトを取ることができ、学生の仕事に対する希望を聞いたり、業務見学などをしたりしてもらうことで「こんなはずじゃなかった」という企業と学生とのミスマッチを防げるのです。
近年、就活の一環としてインターンに参加する学生が増えていますが、学生側からしても就職する際のミスマッチ防止がインターンに参加する最大の目的とも言えるでしょう。インターンに参加すると、実際の仕事やそれに関連する作業などを体験できます。自分にはどんな仕事が合うのかといった判断材料になるため、期間限定とはいえインターン生として仕事のお試し体験ができることは、学生にとって大きなメリットと言えます。
インターン経験者に聞いた!やってしまった失敗の事例と対処法
希望業種のインターンに応募し面接にも無事パスして、いざ働き始めたら失敗ばかりで早くも心が折れそう・・・そんなインターン生もいるのではないでしょうか。誰にでも失敗することはありますが、失敗してしまった後の対処の仕方で周りに与える印象が違ってきます。
ここで、今回寄せていただいたインターン経験者の失敗談の中から、その事例と対処法を紹介します。インターン生として働いているけど失敗続きで落ち込んでいる人は、先輩たちの対処法を参考にしましょう。
知識不足で留学生が知りたいことを教えてあげられなかった
- 家に帰った後で詳しく調べたことを改めて教えた
これは、インターンで国際交流の仕事をした人の失敗事例と対処法です。普段から慣れ親しんでいる自分の国の言葉や文化だからこそ、知らないことも多いものです。
とっさに聞かれてその時は答えられなくても、家に帰って調べてから詳しく教えるのは、単に留学生の質問に答えるためだけでなく、自分自身の勉強にもなります。その場ですぐ答えを知りたいということでなければ、一旦持ち帰るものありです。
作品作りの手順を間違い、工芸体験をしていたお客さんに迷惑をかけた
- 作品作りの途中で、手順を再確認した
これは、インターン生として工芸体験の講師をした人の失敗事例と対処法です。仕事に就いたばかりで、お客さんに正しく教えなければと緊張もしていたことでしょう。最初に手順を確認した際、疑問を感じたものの「きっと大丈夫」と思い、疑問をそのままにしたといいます。
しかし途中で手順を再確認し、時間がかかりましたが何とか作品を完成させることができました。結局、手順を確認し直した分だけ時間を要してしまい、お客さんに迷惑をかけてしまいました。もし再確認をしなければ、時間をいくらかけても作品は完成しなかったかもしれないことを考えると、この対処法は正しかったのではないでしょうか。
部品の取り付けミスで作動中の機械から異音が発生した
- 製造ライン担当のスタッフにとにかく謝った
これは、自動車の部品製造工場でインターンを行った人の失敗事例と対処法です。製造ラインでの作業中に機械からの異音に気づき、担当のスタッフと一緒に異音の原因究明にあたりました。最初はよく気づいたと褒められましたが、調査の結果、スタッフのサポート無しで行った機械の部品の取り付けミスが原因ということが判明したのです。
異音発生の原因となった部品の取り付けをし直したのはもちろん、担当スタッフにも平謝りしました。部品も欠品にはならずに、事なきを得ました。
インターンでの失敗から得た教訓を教えて!
今回の体験談でインターンを行ったことがある皆さんは、様々な失敗を経験していることが分かりました。失敗をただの失敗で終わらせないためには、そこから何かしらの教訓を得て、その教訓をインターン生として行う仕事や今後の就活などに活かしていくことが大切です。
そこで、インターン経験者の皆さんが失敗からどんな教訓を得たのかを見てみましょう。インターン生として働く期間や就活に限らず、日頃の生活においても忘れてはいけないことばかりです。
日本語や日本に関する知識を豊富にしておく
近年、ビジネス・プライベート問わず、外国人と一緒に過ごす機会が増えてきています。そのため、今回寄せられた体験談のように、色々あるインターンの仕事の中でも国際交流に関係するものも少なくありません。
国際交流の際に「この日本語はどんな時に使うの?」「歌舞伎ってどんなもの?」などと外国人から質問されることもあるでしょう。そういう時、ちゃんと答えられるように日本語や日本の文化などを勉強しておくことが大切です。日本語や日本の伝統文化について聞かれたのに、うまく答えられなくて「失敗しちゃった・・・」となるのは恥ずかしいですから。
筆者も以前、留学先で知り合ったばかりの韓国人に「日本ある海に浮かぶ神社がとても綺麗と聞いたけど、どんなところにあるの?」と質問され、厳島神社が何県にあるのか思い出せず、すぐには答えられなかった経験があります。その時周りに他にも日本人数人がいたものの、誰も答えられませんでした。日本のことを聞かれているのに、答えられないのは日本人として恥ずかしいということを身をもって感じた出来事でした。
分からないことは周囲の人にすぐ聞く
失敗を防ぐために、『分からないことはすぐ聞く』ということを忘れてはいけません。今回の体験談でも疑問点を周囲に聞かずに放置し「大丈夫だろう」と自己判断した結果、お客さんに迷惑をかけてしまったケースがあります。仕事で何か分からないことがあれば、周囲の人に聞くなどして疑問解決に努めましょう。
特に仕事に慣れているわけではないインターン生は、分からないことがあっても当たり前です。失敗して迷惑をかけないためにも、分からないことはしっかり事前確認をするようにしましょう。
慣れている作業ほど気を抜かす慎重に行う
インターン先の会社で毎日同じ作業をしているうちに、だんだん慣れてスムーズにできるようになってくることもあります。しかし、そんな時こそ少しの油断から失敗を招きかねません。
慣れていた仕事だからといって、気を抜かずに慎重に行うことが大切です。これはインターン期間中だけではなく、就職後に仕事をしていくうえでも同じことが言えるでしょう。慎重に作業することで失敗を防ぐことができます。
インターン先の企業研究を徹底して行う
インターンに参加する際は、企業研究を徹底して行うことが重要です。
今回寄せられた体験談の中に、1年間の長期インターンに参加して働き続けているうちに、次第に社員よりも責任の重い仕事を任されるようになった人がいました。しかし、インターン生という立場上、待遇面は仕事内容に見合わないもので不満を感じていました。インターン期間終了後、そのままその会社に採用されましたが、インターンの時以上に仕事に対する責任が重くなったにも関わらず、給料は安いままで更なる不満が募り、社員になって半年で辞めたといいます。
どんな会社なのかは実際に働いてみなければ分からない部分もありますが、企業研究をしっかり行ってからインターンに参加することで、待遇面などにも疑問や不満を感じることなく仕事に取り組めるでしょう。
失敗を恐れず挑戦しよう!インターンで失敗しても採用選考への影響は少ない
インターン参加中に仕事で何か失敗したら、その会社の採用選考に影響するのでは?と思っている人もいるかもしれませんが、インターンシップと採用選考とは無関係と言われています。
インターン制度の本来の目的は、『多くの学生に就労体験の機会を提供する』というものです。ですから、もしインターン参加期間中に何か失敗しても、それが採用選考に影響することは少ないでしょう。
ただし、先輩社員の仕事を手伝う際には注意しなければいけません。何度も失敗してしまうような作業は任されないと思いますが、もし失敗してしまった時にはきちんと謝ったうえで、失敗なくできる方法を考えましょう。
インターンへの参加は就労体験の場として貴重な経験ができるため、失敗を恐れずに自分の意見や考えを述べ、作業にも積極的に取り組むよう心がけましょう。
あなたが行ったインターンの業種と仕事内容は?
「1人でも多くの優秀な学生とコンタクトをとりたい」「職場に新しい風を吹かせない」など様々な目的から、インターンシップに取り組む企業が増えています。
今回はインターン経験者に失敗談と共に、どんな業種のインターンに参加し、実際の仕事内容はどんなものだったのかも聞いてみました。
- 市役所で行われた国際交流:来日中の留学生と日本人学生とのサポート役
- 接客業:工芸体験の講師としてステンドグラスを使ったルームランプの制作指導
- 製造業:自動車の部品製造ラインでの実務・製造部品の強度実験実施、まとめと考察
- IT業:Web広告代理店でのリスティング広告の運用やSNS広告の運用の補助など
色々な業種でインターン制度が取り入れられていると、インターンを希望する学生の選択肢も広がり、興味のある業種や仕事内容を見つけやすくなります。
インターンでの失敗体験談
学生時代にインターンに参加経験のある皆さんの失敗体験談を紹介します。インターンに参加したてで失敗が多く、落ち込んでいる・・・そんな人は先輩たちがインターンで失敗してしまった時の対処法などを参考にし、インターン期間が有意義なものになるようにしましょう。
国際交流インターンでの失敗
キム(32歳)
現在は、事務職をしています。勤続は半年ほどです。
大学3年生の時に市役所で行われた国際交流のインターンに参加しました。期間は2週間ほどです。仕事内容は、日本に留学している留学生と、国際交流に興味がある学生との架け橋になってサポートする仕事です。
この仕事で私が失敗だと感じたのは、「日本語を学びたい」「日本の文化を知りたい」という留学生に対して、私の知識不足で殆ど思うように教えてあげられなかったことです。自分が勉強したものとは違う予想外の事を知りたがっている時、それに答えてあげられないことが多々ありました。
そういう時は家に帰ってその事について調べるようにしました。そうして調べたことを教えてあげるととても喜んでくれました。自分で勉強する範囲が狭かったなと反省してからは、予習範囲を広くしインターンに行くようにしていました。
工芸講師のインターンで学んだこと
よしの(24歳)
現在の職業は接客業で2年目です。
インターンで毎週末、工芸体験の講師をしていました。期間は半年間です。インターンでは、はんだごてでステンドグラスのルームランプの制作をするにあたって講師をしました。
インターン生の私と先輩講師と2人で行っていましたが、最初は手順を間違ってしまいうまく教えられませんでした。手順を確認した時に感じた疑問を「大丈夫だろう」と自己判断し、そのままにしてしまったからです。
その後すぐに慌てて手順の再確認をしました。結局そのお客様だけかなり時間がかかり、迷惑をかけてしまいました。どのような事でも疑問があったのなら後回しにしたり、周囲に聞かなかったりせずにすぐ聞くようにしなければと思いました。そうでないとお客様にもかなり迷惑がかかってしまうと反省しました。
自動車部品製造ラインでの教訓
maincarcrz(25歳)
私は仕事で自動車の製造をしている、今年で5年目の25歳男性です。
専門学生の時にインターンに行きました。業種は自動車の部品製造工場で、期間は2週間でした。1週目は部品製造ラインでの実務を体験させてもらい、2週目に製造部品の強度試験とそのまとめと考察を行いました。
インターンでの失敗は、製造ラインでの切削加工中に機械から異音がし始めたので担当の先輩に報告し、原因解析をしました。はじめは、よく気がついてくれたと褒めてもらい、私も得意げになっていましたが、調べてみると異音の原因は、私のバイスの取り付けミスでした。先輩にはとにかく謝り、部品も欠品にはなりませんでした。
その失敗から同じ作業ほど回数をこなす毎に慎重になっていかなければよい仕事はできないと学びました。
インターンからの入社で感じた失敗
金のブタ(24歳)
私は、IT関連の会社にインターンを含め1年半ほど在籍しておりました。
Web広告代理店にインターン生として、1年ほどいました。インターン中に行った仕事は、リスティング広告の運用やSNS広告の運用の補助等、様々な経験をさせて頂きました。
ところがインターンを続けているうちに、いつの間にか社員よりも責任度の高い仕事を任されるようになっていました。本来、仕事を任されることは喜ばしいことなのですが待遇面等の関係上、会社にこき使われている感がどうしても否めませんでした。
その後、インターン生から社員になりましたが、やはりインターンの時以上に責任の重い仕事が回ってくる上に給料は安い状態だったので、半年で会社を辞めてしまいました。この失敗で私と同じような経験をする人たちを生み出したくないという思いが強くなり、現在は自ら起業しています。
インターンでの失敗経験をその後の仕事に活かそう
失敗は、誰にでもあることです。今回インターン生として働いた経験がある皆さんに、インターン先での失敗談を語ってもらいました。それらの体験談を見てみると、色んな失敗をしていることが分かります。
インターン生に限らず、失敗した後にどんな行動をとったか、そしてその後の仕事にどう活かしていったのかということがとても大事なのです。インターン先で経験した失敗が、インターン期間中の働く姿勢を見直すきっかけになったり、学校卒業後に入社した企業での仕事に活かすことができたりします。ですから、失敗した後にどうするかをしっかり考えましょう。