若者は新卒応援ハローワークを活用しよう
ハローワークというと、中には「一度も訪れたことがない」という方も少なくないでしょう。一般的には大学や短大を卒業してから就職される方がほとんどで、学生の方々の多くはハローワークという施設をよく分からないまま就職したり、進路不定でも何とかなるだろうと考え、そのまま卒業される方もいらっしゃいます。
しかし、そのような漠然とした考えのまま卒業してしまうと、ブラック企業や年金問題などさまざまな要点で痛い目を合う可能性が考えられます。そんな方々にぜひ一度足を運んでいただきたいのが「新卒応援ハローワーク」です。
新卒応援ハローワークとジョブカフェの違い
新卒応援ハローワークとは、その名の通り新卒者を対象に就活支援を行うハローワークのことです。
しかし、中には「そもそもハローワークってどんなところ?」「ジョブカフェとはどう違うの?」といった疑問をお持ちの方もいらっしゃることでしょう。まずは混同されがちなハローワークとジョブカフェの概要について詳しく説明していきます。
管轄が違う
ハローワークの管轄は厚生労働省です(注1)。国が所管しており、47都道府県のどこにでもあります。それ故に規模が大きく知名度も桁外れになっています。全国規模の求人もありますので、広い地域で就職活動が可能です。最近では転勤なしの地域限定型の社員制度もあり、特定の地域から離れたくないという方はそういった点の要望も聞き入れてもらえます。
対して、ジョブカフェの管轄は各都道府県が主体となって運営しています(注2)。国のもとに各都道府県があるので国も関与してきますが、あくまでも主体は都道府県単位ですので、その地域の特色が反映されることもあります。
厚生労働省が関与してくることもありますが、それは組織上の問題であり運営の主体になることはありません。しばしばハローワークとともに併設されます。
受けられるサービスが違う
ハローワークの主な業務は職業紹介です。ジョブサポーターが数ある中からおすすめの求人を紹介してくれます。また、失業保険の事務手続きを行うのもハローワークです。今や新規学卒者の中の3割以上が3年以内に離職してしまうご時世なので、失業保険に厄介になるのはそう珍しいことではありません(注3)。失業給付を受ける際は必ず足を運ぶことになりますので、しっかり覚えておいてください。
ジョブカフェでは就職活動全般のサポートを行います。就職セミナーや職業体験、職業相談や提出書類の添削などを行っています。このサポートは地域差が出てしまうため、どこでも受けられるわけではありません。また、施設により対象年齢も異なりますので、訪れる際には自分の地域のジョブカフェがどのようなサービスを提供しているのか、自分が対象者であるかは事前にチェックしておく必要があります。
新卒応援ハローワークで行われている就活サポート
ハローワークで受けられる主なサービスは職業紹介だとお伝えしましたが、新卒応援ハローワークでは特に新卒の方々への支援を手厚く行っています。大学院や短大、高専に通っている学生や既卒者を対象として、一人ひとりに寄り添った就活支援サービスを提供しています(注4)。
現在、新卒応援ハローワークで受けられる具体的なサービスとしては、以下のような内容が挙げられます。
1 おすすめの求人紹介
まるで塾での進路相談のようですが、新卒応援ハローワークではあなたの希望に合った企業をジョブサポーターが提案してくれます。ハローワークでは民間の企業が運営する求人サイトには掲載されていないような求人もあり、そうした内容を閲覧できるのも魅力的です。ハローワークを敬遠してしまう方もいらっしゃいますが、丁寧に探してくれるのでまずは相談しに行ってみてください。
2 応募書類の書き方サポート
希望の企業から内定をもらうためには、丁寧かつ興味が持てるような書類を提出しなければなりません。新卒応援ハローワークではそうした書類の書き方を一から教えてくれます。
エントリーシートや履歴書などをはじめ、採用担当者から見てより魅力的な表現方法や志望動機、自己PR、文体の添削など、自分では注意が疎かになってしまう部分もしっかりとサポートしてくれるため大変心強いです。気になる点があればすぐに添削してもらえるので、完璧な状態で応募できるようしっかりと準備しておきたいのであれば、絶対に受けるべきサービスでしょう。
3 面接指導
就活で面接選考をクリアするにはコツがあります。その多くは自分ひとりでは気づくことができなかったり、視野が狭くなってしまってマニュアル通りにしか動けなくなってしまう方には気付けないことです。新卒応援ハローワークでは、そうした点をジョブサポーターにチェックしてもらい、客観的なアドバイスをもらうことで改善できます。
もちろん、知識がゼロの方でも丁寧に面接のいろはを教えてくれますので安心してください。面接時に適した服装や挨拶、答え方など面接の基礎的な部分について、非常に細かくアドバイスをもらえます。
4 就活資料が閲覧できる
新卒応援ハローワークには、業界研究や試験対策の教本など、就活する上では欠かせない資料が揃っています。これらの書籍は高価なものも多く、ただでさえ出費の多い就活中には痛い出費となります。自分の希望が固まっていれば、おすすめの資料についても教えてもらえるので是非活用してみてください。
5 臨床心理士によるカウンセリングを受けられる
就職活動の中では圧迫面接が行われることもあります。また、過酷なスケジュールの行使により心身共に疲れてしまい、就活うつに陥る就活生も少なくありません。
病は気からという言葉があるように、精神面でのサポートは重要です。新卒応援ハローワークでは随時、臨床心理士によるカウンセリングを受けることができます。何かしらの就職活動に対する悩みを抱えているのであれば、一度相談してみると良いでしょう。
6 各種セミナーなどのイベントに参加できる
1対1での面接指導や書類の添削などはもちろんのこと、新卒応援ハローワークでは希望者を募り、グループディスカッションや集団面接、就活メイク講座、企業説明会など、様々なセミナーが行われています。
就活関連の情報を共有し合ったり、お互いのモチベーションアップにもつながったりと、自分と同じ目的を持った就活生と交流できるまたとないチャンスでもあります。もちろん、これらのイベントへの参加費は全て無料ですので、興味のあるイベントには積極的に参加を申し込んでみることをおすすめします。
新卒応援ハローワークで求人紹介を受ける際の注意点
新卒応援ハローワークは全国各地にあり、あらゆるサポートが受けられます。しかし、企業の将来が分からない以上、ハローワーク側も就職の無理強いはできず紹介までしかできません。
そのため、求人案内を受ける場合には自分自身の目で求人情報をしっかりと見極める必要があります。
数ある求人の中には虚偽の記載がされていたり、説明不十分の求人も少なくありません。特に、説明不十分な内容であったり、抽象的な言葉で大半を埋めてしまっている求人は要注意です。こうした求人では企業の実態が読めず、記載内容と異なる業務や規定があったりします。
もし、自分のやりたい仕事であっても、少しでも怪しいなと思ったら、職業体験や見学は可能かどうかをジョブサポーターの方に聞いてもらうとよいでしょう。本来は自分で確認すべきことですが、組織の方がお願いするのとそうでないのとでは企業側の対応も変わってきますので、そうした違いを含めて就職先を勘案するとよいでしょう。
新卒応援ハローワークで受けられるサービスは有効に活用しよう
「何となく行きづらい…」と感じている方も少なくないハローワークですが、その実態は優良なサービスを提供する国家規模の取り組みであるということ、また、その支援が新卒者のサポートに重きをおいていることをご理解いただけたでしょう。
就職活動において視野狭窄に陥ることはとても恐ろしいことです。せっかくできることがあるのに、できないと勘違いすることで損することが多くなってしまいます。
最近では特定求職者雇用開発助成金などの制度により、既卒3年以内の方を新卒扱いとして求人を募集する企業も増えています(注5)。「今更もう遅い」と考えるのではなく、「まだいける」という希望をもって新卒応援ハローワークに足を運んでみてはいかがでしょうか。
参考文献