入社前の課題にはどんなものがある?
就活生が念願の内定を獲得し、「これで長かった就職活動に終止符を打つことができる!」と思ったところで入社前に課題を出してくる企業は意外と多いものです。
内定後に課題の提出を求められたことがあるという社会人12名から、その課題の内容について詳しく聞いてみました。
入社前の課題内容いろいろ
入社前に出される課題と聞くと、レポートや読書感想文などのイメージが強いですが、その内容は企業や会社のカラー、業界によっても様々なものがあります。
- 販売士の資格取得(アパレル企業)
- 雑誌のコーディネートの分析(スーパーマーケット)
- Excel講座の受講(衣料系の卸売会社)
- プログラム作成(IT系会社)
- 内定先企業のオーナーの著書の読書感想文作成(アパレル企業)
- TOEICテキスト(自動車会社)
- 医療知識・技術を確認するレポート作成(医療系会社)
- 自社施設に足を運び課題を見つけてワードにまとめる(レジャー施設)
- 読書感想文と自社サービスのレポート作成(IT系会社)
- 医療知識・技術を確認するテキストとテスト5回分(医療系会社)
- インタビュー記事の感想文作成6回分(金融系会社)
- 「おもてなし」に関するレポート作成をA4用紙3~10枚分(ホテルブライダル)
入社前の課題の難易度はさまざま
入社前の課題は、基本的には入社後に携わる業務に関わる内容のものが多いですが、それぞれ企業独自の課題を課しているところが多いことがわかります。
Excelの基礎知識を身に着ける課題や読書感想文など比較的難易度の低い入社前の課題もあれば、中には販売士の資格取得を課題とする会社もあったりと、難しさのレベルも多種多様となりますが、いずれにしてもしっかりと取り組み、入社までに備えておくことが必要です。
入社前の課題は何だった?12人に調査!
提出を求められた入社前の課題について、その内容や難易度、提出までの期間などを先輩社員に教えてもらいました。
レポート・読書感想文
読書感想文をまとめるのが苦痛でした
かな(29歳 アパレル)
私はアパレル企業の事務職として内定をもらいました。入社前の課題は、内定先企業のオーナーが執筆した本の読書感想文です。
選択肢が5冊ほどあり、その中から2冊選ぶのですが…どれもハードカバーでかなりのページ数があり、しかも自費で買わなければならなかったのが辛かったです。
内容は精神論的なことがほとんどでそれ程難しくないのですが、特に感想もないのに原稿用紙にまとめるのが大変でした。
締め切りは2ヶ月ほどあったので余裕がありましたが、後でやろうと思っていたら締め切り2日前になってしまいました。他の提出書類と一緒に郵送しましたが、同期の中には提出を忘れてしまう子もいたようです。その他の課題は特になかったのが幸いでした。
私が内定先から出された課題
みゆ(30歳 サービス業)
私が内定をもらったのは、IT系のベンチャー企業です。入社前の課題は複数ありました。
ひとつは読書感想文です。稲盛和夫さんの本を会社から渡されました。
読書感想文は文字数が決まっていて、2000文字以上書く必要がありました。もうひとつは業界に関する基礎知識を勉強するための業界本を1冊を読破してくることでした。
こちらは読書感想文はなかったですが、内容を習得できているか、研修時に確認テストがありました。
そして最後に、自社サービスに対するレポート提出がありました。自社が運営しているサイトが複数あるのですが、そのサイトに対して改善の提案をまとめることと、新規サービスの企画をまとめてくることが課せられました。
読書感想文や業界本の読破はそこまで難しくなかったですが、自社サービスに対する改善と新規の提案が難しかったです。
課題は3月の末日までに人事部にメールで提出することになっていました。ボリュームが多かったことに加えて、卒業論文や卒業旅行、引っ越しなどの行事と重なり、ぎりぎりまでかかりました。
自社施設に足を運んで課題を発掘
あきら(26歳 営業職)
私が内定をもらったのはエンターテイメント業 で、日本でも有数のレジャー施設です。内定してから求められた課題は『自社施設に行き、課題を見つけ、それをワードにまとめて提出する』という内容でした。
字数制限はありませんでしたが、社長もそのレポートを見るから、しっかり書くようにという人事からの指令でした。もともとレジャー施設が好きで入社したので、課題の難易度は高くはなかったです。
課題を出されてからの期間は2ヶ月間あり、その間に自社施設に一度行き、レポートも仕上げなければいけませんでした。
私は課題をもらってから約2週間でレポートを仕上げて提出しました。早めに終わらせて、残りの学生生活を楽しみたかったからです。課題の提出は担当人事のメール宛に提出しました。
課題について
ナスカの地上絵(34歳 営業職)
私が内定をもらった先は主に金融系の会社で、東証一部上場企業等大手を中心に就職活動をしておりました。
ある内定先から提示された課題は、ビジネス文書と評論家やビジネスマンの方の主に社会人として必要なことを中心としたインタビューが掲載された記事が内定先から送られてきて、それを読んだ感想を報告するというものでした。
文字制限や読んだ内容を踏まえて何かを論ずるものではなかったので、難易度としては低かったと思います。「◯ページから◯ページまで」と区切られた範囲を読んで1週間以内に感想を提出する、というのが計6回ありました。
私は概ね締切前日から当日に提出しておりました。提出方法は専用サイトがあったので、そこに感想を入力して送信する方式でした。
おもてなしについて
orin(24歳 接客業)
ホテルのブライダル部門に内定を貰い、詳しい所属振り分けのためにレポート提出が課せられました。その内容は世間ではちょうどオリンピック誘致を行っていたので、おもてなしとは具体的に何を意味するのかという内容の課題が言い渡されました。
ボリュームとしてはA4レポート用紙3~10枚にまとめるのが決まりです。内定を貰う前に学校で同じような内容のレポートを書いていたので、書き進めるのにはあまり苦ではありませんでした。最終的にはレポート用紙7枚に収めました。
内定から2週間以内の郵送必着で提出期限を設けられましたが、学校で作成していたこともあり予め大枠の文章ができていたので、5日後に郵送で提出をしました。
資格の取得
資格試験が就職内定時の課題
ズミ(34歳)
私が大学卒業と同時に就職した会社は、地方では大手の年商200億(当時)県内に7店舗、県外に1店舗を出店するスーパーマーケットでした。
総合職として内定を頂いたのですが、入社前に課せられた課題が、当時商工会議所で行われていた認定資格、販売士3級の資格(可能なものは2級)を取得することでした。
難易度的には3級はある程度勉強すれば誰でも受かるレベルですが、2級は合格率が25%全国に資格取得者約2万人と若干難易度高めでした。
課題を出されたのは正式に内定を頂いた後で、提出はその後の試験の日程に合わせてでした。私は、3級と同時に2級までの資格を取得して、入社するまでに資格証明書を提出しました。
課題の提出方法は証明書のコピーの郵送を行い、就職初年度の経営方針発表会の時に全社員の前で新入社員紹介と同時に資格取得の表彰をしていただきました。
ただし、資格取得できなかったとしても入社後の取得が認められていて、私と同期の中にも一人だけ、資格取得できなかった者がいて入社初年度に取得していました。
その他・企業独自の課題
会社で必ず使うエクセルの基礎講座
せがみん(26歳 事務)
内定をもらったのは衣料系の卸売会社です。入社前の課題の内容はエクセルの基礎が学べるパソコン講座を受けることでした。
30項目ほど講座内容があり、最初に説明を受けて、その後テスト形式で実践するというタイプのものでした。講座は会社から指定されたものであり、基礎の基礎から始まる内容だったので、難易度的にはやさしかったと思います。
中学~大学の授業でエクセルを使ったことのある人なら、問題なく進められるレベルでした。課題を受け取ってから提出期限までは3ヶ月ほどあり、締切の1ヶ月前には提出しました。
課題の提出方法は、講座のページ上で修了したかどうかが会社側から確認できるようになっていたため、特にこちらからは何もしていません。
内定先からの課題
りんご(31歳 会社員)
私は国家試験に合格し、医療系の会社に就職しました。内定通知とともに課題の用紙が送られてきました。
入社前の課題の内容は就職するにあたって必要最低限の知識や技術を記入するものです。たとえば、「採血の方法を文書に書きなさい」「看護の法律について」など、あまり難しくなく、教科書に載っているものが多く困らずに課題は終わらせることができました。自分の復習にもなりよかったです。
期限は1週間でしたが、集中してやると1日で終わりました。3日後には郵送で提出しました。パソコンでも手書きでもよかったので私はパソコンでやりましたがパソコンだったのでモチベーションがあがってよかったです。入職してから課題を返されることはなかったです。
アパレル会社からの課題
ほしくず(25歳 アパレル)
私が内定をもらったのはアパレル業界で、販売スタッフとしての採用でした。
入社前に出された課題はとある雑誌からいくつかコーディネートを切り取り指定の用紙に貼り付け、そのコーディネートを自由に分析し提出するというものでした。とにかく自由に自分らしくということだったのですが、コーディネート分析ということでファッションの流行を把握してない人や知識のない人には少し難しかったかもしれません。
課題の提出期限は約10日後に設定されていました。私は課題が出されてからすぐに取り組み始めたので、時間に余裕を持たせながら終わらせることができました。
提出日は決まっており、内定者向けの説明会を行った後、直接手渡しで提出しました。またこの課題は一度だけではなく、違う雑誌で数回提出しました。
愛知県自動車会社の内定課題
ポチ(25歳 製造業事務職)
自動車製造業の事務系に内定を貰った時、英語に関する課題をもらいました。
入社前の課題はそれぞれのTOEICスコア、つまり英語レベルに合わせて600、730、900点からテキストを選択できます。
私は当時スコアが400点なかったので600点のテキストを選択しましたが、内容は市販されているTOEIC600点突破の教材とほぼ同じレベルで、落ち着いて時間が十分あれば解けるレベルでした。
課題は内定式の日に出され、提出は入社式の日だったので期間は5ヶ月ほどありました。私が課題の提出をしたのは入社式の日です。
課題の提出方法はネットで進捗の報告をしており、最後会社から配られる紙に選んだ教材、自分の名前を書き、直接提出箱にその紙を入れるものでした。
入社前から課題に追われる日々
りけじょ(33歳 IT系)
大学で情報システムを専攻していた私はIT業界に就職しました。入社する半年前から、プログラミングの能力向上の為にプログラム作成の課題を出されました。
メールで課題が送られてきて、求められる動作をするプログラムを作成してメールで提出します。
問題があればその箇所を指摘されるので、修正して再提出し、合格がもらえるまでそれを繰り返します。月初めに一つの課題が出され、月末までに合格をもらえるようにする必要がありました。
半年間なので全部で6題、最初は一度の提出で合格をもらえる程度のレベルでしたが徐々に難しくなりました。
後半は2、3度再提出が必要になるレベルの課題になったので、月半ばまでには一度提出をして、指摘をもらって修正する時間に余裕が持てるようにしていました。卒業論文の追い込み時期と重なっていたため、とても忙しかったです。
入社前の課題について
フラワー(27歳 医療系)
私が内定をいただいたのは医療系の商社です。あまり深い知識は必要ではありませんがある程度の医療知識(体のしくみや機能など)が必要であるため、内定から入社までの約半年の間に5回程度の体のしくみに関する入社前課題が出題されました。
やりとりは全て郵送で、はじめにA4裏表2枚程度のテキストを配られ、その内容を約1ヶ月の間に暗記します。次にそのテキストの内容のテストが郵送されるので、テストを回答してテキストを参考に答え合わせまでしたものを郵送で提出します。
また次のテキストがそのテストに同封されているので、次のテストが送付される約1ヶ月の間にまた暗記する、といったリズムです。
テストが郵送されてから提出期限まで1週間ほどありましたが、事前にテスト郵送日が知らされていたので、予定も立てることができ、締め切りの3日前には会社へ届くように郵送していました。
入社前の期間は有意義に過ごそう
「内定後は自由だ!」と思う方も多いですが、入社前の課題を片付けることはもちろん、卒論などで忙しくなることが予想されます。
もし入社前に出された課題を期限内に提出できなかった場合、内定取り消しの可能性は否めないだけでなく、例え内定取り消しには至らなかったとしても、「この学生は締め切りを守れない人間なのだな」と、入社後の評価に響く可能性が高いでしょう。
内定後は、遊びとやるべきことのバランスをとりながら、無理のないスケジュールで有意義な時間の過ごし方をしたいものです。