学歴フィルターとは?
「学歴フィルター」という言葉は、就活生なら誰しも一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。学歴フィルターとはその名のとおりで、入社採用選考の過程で学校名によって選考対象となる就活生を絞っていく仕組みを指します。大多数の就活生にとっては、あまりいい響きをもった言葉ではないことでしょう。
入社採用選考において、学歴フィルターが本当に実施されているのかどうかは、常に就活生の頭を悩ませつづけてきた問題です。
学歴フィルターの存在の有無、実際に導入されているのであれば、採用選考過程の中のどのタイミングで、どのようなかたちで行われているのか、さらに就活生が学歴フィルターを突破するためにとるべき対策についてチェックしていきましょう。
学歴フィルターは本当に存在するのか?
就活生がまず知りたいのは、学歴フィルターが現実に存在しているのかどうかです。結論から言ってしまうと、入社採用選考過程において学歴フィルターは確かに存在します。しかし、就活生の目に見えるかたちであからさまなフィルターをかけられることはほとんどありません。同じ企業の採用選考を違う大学の友人と一緒のタイミングで受けて情報共有をした際に、話が食い違ったり、選考過程の違いに気付いたりする人が多いようです。
なお、例外として、大学名で会社説明会場を分けるという事例の存在も報告されています。これはあまりない特殊な例と考えてよいでしょう。
学歴フィルターがかけられるタイミング
学歴フィルターは入社採用選考過程のどのタイミングで導入されているのでしょうか。いくつか具体的な例を挙げてご紹介します。
会社説明会やセミナー予約受付時
学歴フィルターの実施に関して最も話題にのぼりやすく、就活生が気づきやすいのが、会社説明会やセミナーのWEB予約のタイミングです。
狙っていた企業の会社説明会やセミナー受付開始時間に合わせてパソコンの前でスタンバイしていたにもかかわらず、一瞬で全部の時間帯が満席になってしまって予約できなかったという苦い経験をしたことがある就活生は少なくないでしょう。
人気企業で応募者が殺到し、本当に一瞬で満席になってしまうことももちろんあります。その一方で、学歴フィルターをかけられた可能性が高いパターンは、違う大学に通う友人に話をしたところ、「受付開始から数日後に普通に予約がとれた」というようなことを言われた場合です。
このような場合、システム上で機械的に学歴フィルターをかけられてしまっているので、就活生自身にできる対策は残念ながら皆無に等しいです。どうしても諦められない場合は、別のルートや何らかの「つて」をたどって、説明会に出席できるように努力するほかありません。
書類選考やWEBテスト受験時
学歴フィルターをかけられたのか、点数が足りなくて落ちたのか、就活生からは一番わかりにくいのが書類選考やWEBテスト受験のタイミングです。一定以上の学校の就活生は、WEBテストの点数にかかわらず通過させるということも行われています。実際に、WEBテストのボロボロの出来を自覚していたのに通過したという経験がある就活生もいることでしょう。
この種類の学歴フィルターは深く考えても仕方がなく、企業に問い合わせたところで答えが返ってくるはずもないことなので、テスト勉強などできるかぎりの対策をとってただ全力をつくしましょう。
リクルーターがつくとき
リクルーターとは、企業の人事担当者とは別に、就活生と直接コンタクトをとりながら採用活動に関わる役割を担って企業内から選ばれた社員のことを指します。リクルーターとの面談が実質上の一次面接として機能していることも多く、採用選考を優位に進めることのできる仕組みのひとつです。
会社説明会やOB・OG訪問など就活におけるいくつかのタイミングでリクルーターがつくことがありますが、このリクルーターがつくかつかないかに関しても、学歴フィルターがかかることがあります。
面接実施の過程
一定の学校の学生に対しては、面接回数を少なくするというかたちで学歴フィルターを導入していることがあります。この場合は学歴で足切りされてしまうわけではないので、一つ一つの面接に全力で取り組んで壁を越えていきましょう。
採用において企業が学歴を考慮する理由
「学歴だけでは人は判断できない」と言いたいところですが、企業が学歴フィルターを採用活動において導入するにはそれだけの理由が存在します。
企業側がどのような意図で学歴フィルターをかけているのかをよく知っておくことで、トライしてみる価値のある対策がわかったり、反対にあきらめて次へ進もうと気持ちを切り替えることができるでしょう。
1 大量の入社志望者を処理するため
近年、大手企業や人気企業においては、入社志望の就活生が万単位の人数で殺到します。限られた期間内でエントリーシートや志望動機等を一人一人しっかりと読んで選考することは、効率的とは決して言えません。
採用活動にもお金がかかっており、限られた時間と予算内で、効率的に優秀な応募者と出会うためにも、いわば大学受験のセンター試験足切りのようなかたちで、費用対効果に鑑みて学歴フィルターを戦略的に導入している企業が多いと言えるでしょう。
2 学歴の高い就活生に優秀な人材が多いため
学歴フィルターにひっかからない学校、つまり難関大学等に合格した人は、自分を厳しく律して受験勉強をしてきた経験を持つ人であったり、または地頭がよい(IQが高い)人であることが多く、仕事の処理能力の高さが期待できます。
学歴の高い人は文系理系を問わず論理的な思考ができる人が多く、このことは仕事の能力の高さにも直結する潜在能力を持っていると考えられているのです。
3 企業の伝統や品格を守るため
少なからず今も、いわば学閥の存在する企業はあります。企業の伝統やカラー、プライドを保つためにも、一定の大学から優先して採用を実施しているということです。
学歴フィルターに対して就活生がとるべき対策
学歴フィルターが実施されている場合、就活生にできることはないのでしょうか。学歴フィルターの実質をしっかりと把握して、とれる対策を積極的にとりながら就活に取り組みましょう。
1 埋もれないエントリーシートを作成する
学歴フィルターを導入していても、エントリーシートすべてに目を通している場合は少なくありません。本来なら学歴フィルターにかかってしまう学校の応募者であったとしても、面接に呼んでみたいと思わせるような特徴のあるエントリーシートであれば、通過することも十分にありえます。
2 学歴フィルターにかからない学内説明会等に参加する
最も現実的な学歴フィルター対策としては、学歴フィルターにかかる心配のない確実な採用募集に応募することです。たとえば、学内で実施される企業説明会などは、その学校の学生を積極的に採用している地元企業であったりすることが多いです。
3 学歴フィルターをすり抜ける裏ルートを探す
学歴フィルターが実施されている場合でも、積極的に「つて」をたどってアピールすることで特別なルートから採用に参加できることがあります。どうしてもその企業に入りたいという熱意のもと行動すれば、無理なように思えた道が開けることも十分ありえます。
4 大手企業や人気企業への応募は避ける
入社志望者が殺到する大手企業や人気企業は、採用倍率から考えると宝くじに当たるような確率でしか採用されないところも多いです。そのような企業は、万単位の人数の入社志望者が殺到する選考をスムーズに進めるために、学歴フィルターを機械的に実施している可能性が高いです。
自身の学歴に自信がない場合は、潔くあきらめて無駄な戦いに挑まないという姿勢も立派な学歴フィルター対策の一つと言えます。膨大な量のエントリーシートの作成に追われたり、過密な面接日程をこなしたりする必要のある就活は、力を入れるべきところとそうでないところを明確にして、戦略的に取り組む必要があるということです。
学歴フィルターの実態を知って就活に取り組もう
学歴フィルターは、学歴に自信がある就活生にとってはむしろ心強いでしょうが、大多数の就活生にとっては無力感を感じてしまうシステムです。
しかし、学歴フィルターによって最初から行きたい企業を諦めてしまう必要はありません。できるだけの対策はとり、無駄だと思うことは省いて戦略的に動くことで道は拓けるものです。そのためにも、学歴フィルターを含め就活に関するさまざまな情報やうわさにまどわされることなく、確かな実態を把握して自分で考えて行動するようにしましょう。