大人気の鉄道業界への就職は志望動機が重要
就活において鉄道業界と言えば、昔から人気の高い業界で、鉄道という馴染みのあるインフラを扱っていることや、待遇の良さ、経営の安定性などの様々な面で評価されています。
それだけに鉄道業界への就職を希望する就活生も多いのですが、その中で内定を勝ち取るためにはポイントを外すことなく、かつ自分の魅力をしっかり伝えることができる志望動機が重要になります。同じく鉄道業界を志望するライバルたちに差をつける志望動機の作り方について考えてみましょう。
志望動機を書く前に鉄道業界の仕事を理解しよう
就活で特に志望動機を考える際には業界分析・企業研究が欠かせませんが、それは鉄道業界でも当然同じです。
鉄道という馴染みのあるインフラを取り扱うだけに、多くの人が「何となく」鉄道業界の仕事をイメージすることはできると思いますが、実際には鉄道会社は不動産業を始め非常に事業を多角化しているところが多くなっており、純粋に鉄道を用いた運輸業だけを行っているところは少ないです。経営の安定化を図るだけでなく、沿線の地域開発によって沿線の魅力を高めることが路線の利用者を増やすことになりますので、林業のように何十年も先を見越して開発を進めているのです。
現在、外国人観光客の増加に伴って鉄道の需要が増えている一方で、少子高齢化による人口減によって今後は国内需要が減っていく見込みです。沿線によってこうした環境変化の影響は違ってきますので、よりエリアを絞り込んだ情報を元に先行きを見通していく必要があります。
鉄道会社によって路線も違えば事業への取り組み方、経営理念や労働条件など様々な条件が違っていることにも留意しなければいけません。様々な事業上の取り組みがあるため、いくら鉄道オタクと言われる人たちでも、ビジネスとしての鉄道業を正確に把握することは難しいと言わざるを得ないのです。
鉄道業界への志望動機の書き方ポイント
鉄道業界で多角化が進んでいることを踏まえたら、志望動機を書く時の構成を考えていきます。まず、鉄道業界への志望動機の書き方ポイントを押さえましょう。
1.どうしてその企業なのかを明確にする
鉄道業界と一口に言っても、JRのように全国規模の企業である場合もあれば、地域で一部のエリアを管轄している私鉄など様々な種類があります。「鉄道業界ならどこでもいい」という本音がある人もいますが、企業にとってはやはり「どうしてウチで働きたいのか」ということは、入社後の社員の離職率や成長度に大きく関わってくる問題ですので重要なのです。企業研究をする目的のひとつは、この問いに答えるためでもあります。履歴書やエントリーシートの志望動機欄に書く時や面接で問われた時に備え、しっかり理由を述べることができるようにしておきましょう。
2.鉄道好きをアピールしない
鉄道業界に就職を希望する人は、鉄道好きな人が多いのは事実です。しかし、鉄道が好きということと鉄道業界で働くということにはあまり関連性はありません。そのため、面接やエントリーシートで鉄道が好きという気持ちをいかにアピールしても評価されません。「鉄道ファン」ではなく、鉄道に関わる仕事をしたいと思えば、それ相応の目的や理由などが必要になります。志望動機などの中であからさまに鉄道マニアぶりをアピールすることで、無条件に落ちることもあるという話もありますので注意しましょう。
3.自分の特性と業務への関わりを示す
志望動機としては、どうしてその企業を選んだかを軸に話をしますが、一方で自分がその仕事に向いているこということも伝えていけるとベターです。鉄道業界では「コツコツ努力できる」「時間に正確である」「動じず冷静に物事を判断できる」といった特性がある人に特に適性があります。自分の特性を活かせる仕事として鉄道業界を選んだというアピールができると効果的です。
鉄道業界への志望動機の例文
鉄道業界への志望動機のポイントを、例文を見ながら確認してみましょう。鉄道業界への就職を目指している人は、ぜひ志望動機を書く際の参考にしてください。
JRグループへの志望動機の例文
私が御社を志望したのは、エリアとエリアの大動脈となり、地域に大きな影響を与えることができる仕事を行っている会社だからです。
私は学生時代から、地域の発展と交通の関係を専門として勉強してきましたが、特に鉄道がもたらす変化の大きさに衝撃を受けました。特に御社は旧国鉄として広範囲をカバーして、公益性の高い路線を数多く保有し、沿線地域の開発にも多大な貢献をしています。
私はこの地域の発展に携われる仕事に絞って就活をしていますが、最も理想に近く、大きな貢献ができるのが御社と考え志望いたしました。
JRグループと言うのは、よく知られているようにJRを冠する会社のことを言います。旧国鉄として全国に鉄道路線網を持ちますが、現在は企業としては分割されており、様々な面で違いがあることは覚えておいた方が良いでしょう。
この志望動機の例文では、JRグループが大きく地域と地域をつなぐ役割をしていることや公益性が高い点を評価し、「地域発展に携わる仕事がしたい」という自分のキャリアの方向性に合致した企業として志望しています。
志望動機としては明快ですが、自分に関するアピールとしては少々弱いです。性格上の特徴や、勉強してきた専門性が活かされるような内容になるとより良いものとなるでしょう。
私鉄への志望動機の例文
私が御社を志望したのは、地域の生活に密着した企業であり、多くの住民の生活を支える公益性の高い企業だからです。
毎日安全に、そして正確にダイヤを刻み、私たちを目的地に運んでくれる鉄道があることを前提に私たちの生活は成り立っています。あまりにもそれが当然となり、少々遅れるだけでクレームが出る状況になっているのは、すごいことだと感じています。その当然を守るために、多くのプロたちが自分の仕事に誠心誠意取り組んでいるからこそだと思います。
私の実家のある地域も、御社の沿線上にありますが、急行が止まるようになってからは急速に発展するようになりました。沿線の地域開発においても、鉄道の影響の大きさを実感しています。
私も仕事を通して住民の当然の生活を支え、地域の開発に貢献したく、御社を志望することにいたしました。
私鉄における志望動機の例文です。私鉄はJRグループと比較して沿線の距離が短く、一部のエリアの中でのみ鉄道事業が展開されているのが普通です。そのため、より沿線地域に魅力を感じてもらおうと、不動産事業や駅周辺の整備・開発などの事業により力を入れる傾向が見られます。
この志望動機では、地域住民の生活を陰ながら支えている鉄道の働きについて触れて敬意を示すと共に、経験から鉄道が地域に与える影響の大きさについて述べて志望の動機としています。鉄道や地域に対する愛着が感じられて好感をもってもらえるでしょう。
ただ、私鉄の場合は運転士などの特殊な職でなければ、より地域への貢献を強く押し出したアピールの方が良いでしょう。鉄道が大事なのはどの地域でも変わらず、その中で該当企業を選んだ理由としては弱いからです。
鉄道業界の志望動機が単調になりやすい原因と対策
鉄道業界の志望動機というのは、どうしても単調になりやすいものです。その理由は、鉄道業界に関する情報が不足しているということや、人気が高い企業でもあることから、限られた情報源から入手した情報だけで志望動機を作っていくと他の志望者と重複しやすいからです。
たとえそんなつもりはなくとも、渾身の志望動機が採用担当者から見ると「誰かのと同じ」に見えてしまうことがありますので、しっかり対策をしていく必要があります。
沿線へ行ってみるとオリジナルの志望動機を作るヒントを得られる
鉄道業界への志望動機が単調にならないための対策とは何かというと、実際に沿線に足を運んでみることです。情報は誰が見たとしても、その内容が変わることはありません。しかし、体験によって得られる情報は人それぞれであり、オリジナリティのある情報を得られるはずです。
鉄道業界で働いている人にはどんな仕事があるのか、地域開発とはどういうことを言うのか、そういったことを考えながら鉄道を利用して、大きな駅小さな駅を回ってみてください。それがオリジナルの志望動機を作る材料になるでしょう。
ただし、就活が本格化してからはそんなゆったりとした時間は取りにくいため、余裕のあるうちに行っておきましょう。スマホで写真や動画を撮影すると、後で思い起こす際にも有効です。
鉄道業界への志望動機は広い視野で考えよう
鉄道業界に興味を持つ理由は、その業界が多くの人々の生活に影響を与え、社会基盤として不可欠な存在であるためです。また、鉄道業界は技術革新や地域の経済発展に貢献することができることも魅力的です。
さらに、鉄道業界には多岐にわたる職種が存在しており、自分のスキルや興味に合わせた仕事が見つかる可能性が高いという点も魅力的です。例えば、列車の運転士や車両の整備士、営業やマーケティング、人事などの部署もあります。
また、鉄道業界は長い歴史と伝統があり、文化的な要素も含んでいます。それによって、鉄道業界に関わることで、地域や国の歴史や文化を理解することができるかもしれません。
最後に、鉄道業界は今後ますます多様化していくことが予想されます。例えば、環境に配慮した技術の開発や、AIやIoTを活用したサービスの提供などが進んでいます。これらの分野で新しいアイデアを生み出すことができる可能性もあるため、鉄道業界には魅力的なキャリアパスがあると言えます。