BtoBとは?意味を知って企業研究の範囲を広げよう
世の中には多くの会社がありますが、その分類方法も様々です。業界で分けたり、また企業の規模で分けたり、会社組織の形態などから分類することもあります。
近年、そういった企業分類のひとつとして定着してきているのが「取り引きする相手が誰か」という分類方法です。取引相手による企業の分類では、企業はそれぞれBtoBやBtoCなどと呼ばれます。
BtoBとはどういう企業を言うの?
BtoBとは、Business to Businessの略です。企業(法人)を相手に商取引を行う会社を意味し、B2Bと表記することもあります。
BtoBと同様、取引相手によって分類されたものとしては、以下のようなものが見られます。
- BtoC (Business to Consumer) :一般消費者を相手に商取引を行う企業
- BtoG (Business to Government) :行政機関を相手に商取引を行う企業
- BtoE (Business to Employee) :従業員を相手に商取引を行う企業
BtoBとBtoCの違いはどんなところ?
BtoCの企業は一般によく知られているTVコマーシャルも多く行われている企業が多く、日本国内において多くの企業はBtoCです。そのため、BtoCの企業と比較するとBtoBの特徴が見えやすく、取引先の違いが大きな違いを生み出すことをよく理解できます。
BtoBとBtoCの違いについて、大きなポイントを挙げると以下のように表現することができます。
1 取り扱う商品が違う
BtoC企業の扱う商品は一般消費者(エンドユーザー)に向けたものです。
BtoB企業はBtoC企業が販売するための商品や、エンドユーザー向けの商品を製造するための素材やビジネスのための設備・機材などを扱う形となります。
2 売り方(マーケティング方法)が違う
BtoCにおいては、購買側は基本的に購入意欲が低いため、感情・感覚的に刺激を与えて購買活動に誘導するようにしなくてはなりません。そのためTVなどのマス媒体での広告などで商品の認知や需要喚起を行う必要があります。また、企業としてのブランド力があると販売上非常に有利になります。
一方で企業間取引では、よい条件であれば購入の検討を希望する場合が多く、一回限りではなく、長期にわたって商品取引が行われる点に特徴があります。より長い目で合理的に商品購入が決定されるため、商品のメリットやデメリットをしっかり説明していく必要があります。購入側も知識があることが多く、よい商品なら知名度は低くても売れるチャンスがあります。
3 購入の意思決定者が違う
BtoCの場合は、購入する人がその商品やサービスを買いたいと思えば商取引が成立します。
しかし、BtoBの場合には金額も購入数もBtoCよりもずっと大きくなります。担当者には決定権がない場合も多く、社内の複数の意思決定者の決裁をもらう必要があり、商品の購入までの意志決定に時間がかかるという特徴があります。
4 決済方法や商品の受け渡し方法が違う
BtoCにおいては、基本的な購入方法は現金であり、またはクレジットカードや電子マネーなどがほとんどとなります。
しかし、BtoBの場合には契約時に全ての金額が即座に支払われることは少なく、契約から分割して支払われたり、一括でも後日の指定した入金日に入金したり、様々な決済方法が取られます。そのため、入金タイミングまでしっかり考えて営業活動をする必要があります。
BtoB企業の例は?
BtoB企業というのは非常に多種多様で、その分野もさまざまです。BtoB企業にはどんなものがあるのか、見ていきましょう。
メーカー・商社
様々な商品を製造するメーカーや、各地から仕入れてくる商社はBtoB企業の代表格です。特に素材や鉄鋼、化学などのメーカーはエンドユーザーからは遠いためにイメージがわきにくいですが、様々な商品を支える大事なもので、日本では規模に関わらず世界的なノウハウをもった企業も数多くあります。
コンサルティング・シンクタンク業
問題の解決方法の提案や、問題や統計の分析・研究を行うコンサルティング業やシンクタンク業といったものは、一般に情報を公開することもあります。多くは企業や行政機関などにその調査結果を販売したり、専門家を派遣して共同で調査を行うことで収益を得ています。
広告代理店
様々な広告やPRの企画を考える広告代理店は、個人が利用することはほぼなく、企業や行政団体向けの活動がメインとなります。
デザイン制作会社
多くの場合、デザイン制作は企業がデザイン制作会社に依頼して、デザインされた商品を開発して販売したり広告に用います。最近ならWebサイトなどのデザイン制作もBtoBの代表例です。
就活・転職市場でBtoB企業が人気となる5つの理由
学生が就職活動を始めたばかりの頃は、どうしても知名度の面でBtoC企業に比べるとBtoB企業は劣るために敬遠されがちですが、よく調べてみるとBtoB企業にも多くの魅力があります。転職市場においてもBtoB企業は人気が高いです。
1 BtoBは安定している企業が多い
BtoC企業に比べてBtoB企業は安定している企業が多いのが特徴です。特に、ある程度の年数続いている企業では、取引先や商品が安定しており、売上が大きく変動することは少ないです。そのため、経営が安定しやすい特徴があります。
また、一件あたりの受注額が大きくなるため、営業職などはインセンティブがつきやすいため、営業職の転職活動では比較的人気が高いです。
2 BtoBは知名度が低いので競争率が低い
一般的に知名度の高い企業はそれだけで多くの人が就職を希望するために競争率が高まります。BtoB企業は、就活生から見るとあまり馴染みがないために敬遠され、競争倍率が低めとなります。しかし、一般に(特に学生には)知られていないだけで、世界的に有名なメーカーである場合もあります。
3 ブラック企業が少ない
BtoBの企業というのは、いわゆる「モノづくり」をする企業が多くなります。一方のBtoCは、最終消費者に商品やサービスを販売するものですので、販売業が多くなります。どちらが参入が容易かは一目瞭然で、モノを作るよりも仕入れて販売する方が簡単です。
BtoCはどうしても商品の値段を仕入れの値段から決定する必要があり、価格を決定する力が弱い面があります。そのため、企業が利益を出そうとすると人件費や職場環境をコントロールせざるを得ず、そのためにブラック企業ができてしまいやすいのです。BtoB企業は自分たちの技術によって商品を作っているため、利益の出る商品価格を設定しやすい特徴があります。
4 BtoBはBtoCよりも行動範囲が広い
業界や商品・サービスにも左右されますが、BtoCよりも広い行動範囲を持つのがBtoBの特徴です。小さな会社で合っても全国相手に商品を展開していてあちらこちらに出張に行くことがあったり、海外の工場に視察や買い付けに行く場合もあります。
5 信頼度が高い
良い商品やサービスを良い条件で提供できればビジネスチャンスが増えるのはBtoBの特徴ではありますが、一方で与信を見られる場合もあることも特徴的です。
与信というのは、簡単に言えば「その企業の信頼度」です。BtoCで気にする人は少ないですが、BtoBでは長期にわたり多くの取引をすることになりますので、その企業の継続性や財務体質、生産体制などが問われる場合もあります。大企業相手だと「見合わない」企業は取引できない場合も少なくありません。
BtoBとBtoCは垣根がなくなりつつある
BtoB、BtoCという分類はされていますが、この垣根は徐々になくなりつつあります。
従来ですと、メーカーは販売店に商品を卸し、エンドユーザーへの営業は販売店に任せていました。それが効率的だったからです。しかし、今はインターネットを使った電子商取引を使って、BtoBのビジネスをしていた企業がBtoCのビジネスに参入していることも少なくありません。販売上の店舗や人員を確保するコストが大きく下がることで、製薬メーカーや化粧品メーカー、パソコンメーカーや出版社などが店舗を通さずにネットショップで直販をすることも増えました。
また、業務用の商品を一般消費者にも販売するスーパーなども多くなり、BtoBでもありBtoCという企業も増えてきています。銀行や保険会社、証券会社などは、BtoCのイメージが強いのですが、実際にはビジネス上の利益を作っているのはBtoBの分野です。企業でもお金の貸し借りや預金は行いますし、保険にも多数加入します。
また、会社の資金を運用するためであったり、増資や上場などのために証券会社にお世話になることも少なくありません。このように、BtoBの裾野は存外広いものであると留意しておく必要があります。
就活はBtoB企業にも目を向けて調べてみよう
BtoB企業というのは、一般消費者ではなく企業向けのビジネスを行っている企業です。取引先の違いによって、同じような商品を扱うにしても、ビジネスの形や経営環境などに多くの違いがあることがわかります。そのため、このように取引先で企業を分類するという観点は、就職活動などをする際にひとつの参考になるでしょう。
企業の事業内容を考える際には、誰を相手に取引を行っている企業なのかを考えると、より具体的に就職後のことを考えることができるようになります。「あまり知らないから」と敬遠せずに、ぜひBtoBの企業にも興味をもって調べてみてください。