失業保険と職業訓練を組み合わせると得をする
失業保険と職業訓練には関連性があるのをご存知でしたでしょうか。失業保険は正式名称を雇用保険と言い、働いていた会社に雇用保険制度があり保険料を納めていた人が、自己都合または会社都合で退職し失業状態になって、一定の要件を満たした時に適用となる保険のことです。失業保険は要件を満たせば給付金を受けることができ、働いていた時の役5割から8割分の手当がもらえます。そしてハローワークを通じて受けられる職業訓練は、転職のためのスキルアップや資格の取得が目指せます。
しかも職業訓練を受けることで、失業保険の手当を延長して貰うことができるからお得なんです。
失業保険(雇用保険)と職業訓練の申込み手続きはハローワークで行う
失業保険と職業訓練の制度を利用するための手続きを行う窓口はハローワークです。職業訓練の申込みを行うためには、ハローワークにて求職の申込みを行う必要があります。職業訓練を受けている間は雇用保険から基本手当を受給することができますので、まずは雇用保険(失業保険)の受給手続きを行いましょう。
すぐに就職するからといって雇用保険の申込をしないという人がいますが、実際に転職活動をしてみたら数ヶ月転職先が決まらないという可能性もあります。前職で雇用保険に加入していたのなら、制度を利用することで転職先が決まらない場合は給付金を、雇用保険の手続き後に転職先が決まった場合には再就職手当を受け取れる場合もあるので、会社を退職したらすぐに雇用保険の手続きをするようにしてください。
失業保険をもらえる条件って?
仕事をやめて手続きさえすれば失業保険を貰えるというわけではありません。雇用保険の受給資格を確認しておきましょう。
前職での雇用保険加入期間
- 自己都合退社の場合
会社を辞めた日前の2年間で、雇用保険に加入した仕事を1年間以上継続していて、かつ月に11日以上働いていた - 会社都合退社の場合
会社を辞めた日前の1年間で、雇用保険に加入した仕事を6ヶ月間以上継続していて、かつ月に11日以上働いていた
退社後に会社から送られてくる離職票-2の具体的事情記載欄(事業主用)という欄に、自己都合なのか、会社都合なのかが記載されています。雇用保険の受給資格、及び受給期間にも影響しますので、もし自ら辞めたのではなく理不尽な理由で解雇となったのに、自己都合と受け取れる内容が記載されている場合や、長時間の残業が続き体調を崩す可能性があったので退社した場合も、ハローワークを通じて異議申し立てを行うことができます。
失業の状態であること
ただ仕事をしていないということではなく、就業の意思があるのにもかかわらず、失業の状態となってしまっていることが要件となっています。
- 病気やケガですぐに働くことが出来ない
- 妊娠・出産・育児などですぐに就職することが出来ない
- 65歳以上の退職で、すぐに就職するつもりがない
- 結婚などの影響で家庭に入り就業するつもりがない
上記の場合は要件を満たしていません。病気や怪我など自分の意思とは関係無く就職活動ができない場合は、
しかし、給付の延長という制度があり、例えば、ケガや病気から回復し、就職活動を開始出来るようになった場合に給付が開始されるように給付を延長しておくことが出来ます。
そもそも、雇用保険を受給できる期間は通常ですと、離職した日から1年間となります。長期の入院をしていたとして、退院してから雇用保険を受給したとしても離職日から1年が過ぎると、受給できなくなってしまいます。やむを得ない理由により1ヶ月以上雇用保険の手続きができない人は、ハローワークで受給期間の延長申請をするようにしましょう。
給付制限中に求職活動をすること
雇用保険は、申請後に7日間の待機期間と、自己都合での退社の場合には3ヶ月の給付制限を終えてから、手当を受給できるようになります。給付制限中にちゃんと求職活動をしているか確認するための認定日があり、ハローワークで職員による求職活動が行われているか確認されます。
認定日は待機期間後4週間毎に行われ、次回の認定日までに求職活動を2・3回行う必要があります。ハローワークの端末で求人情報を閲覧するのも、立派な求職活動になるので受付で雇用保険受給資格者証の求職活動部分に証明となるハンコを押してもらいましょう。
給付制限中はもちろん収入がゼロになってしまいますが、就職とみなされない継続的ではないアルバイトならば認められています。雇用保険の手続きの際にもらえる「雇用保険の失業等給付受給資格者のしおり」の中に、1日の労働時間が4時間以上、または週の労働時間が4日以上で20時間を超えている場合は就労したと判断されるため、それらが継続する場合は就職したとみなされる場合があります。生活費の為にアルバイトが必要な場合は、一度ハローワークで相談してからにしましょう。
職業訓練をすると失業保険の給付制限が免除されます
自己都合での退社で発生する給付制限期間ですが、職業訓練を受講することですぐに雇用保険の手当を受給することができるようになります。
職業訓練の多くは、訓練コースへの募集日から訓練開始までが2ヶ月間程あるため、雇用保険を申請した直後に職業訓練に申し込めれば、給付制限があったとしても1ヶ月早く受給を受けられるようになります。
「職業訓練」って何を訓練するの?
独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構での訓練と、各都道府県より認定を受けた訓練とに分かれます。パソコンの基礎から事務に必須となるソフトの利用方法、デザインやプログラムといった専門的なこと。機械技術から自動車整備、電気関連や建築関連と多種多様な訓練があります。訓練期間は3ヶ月から2年の訓練もあり、訓練修了後には国家資格を取得できる訓練コースもあります。
地域によって職業訓練コースは違い、募集時期や訓練時期も違うため、転職してやりたいことが決まっているなら関連する職業訓練が無いか、ハローワークで確認しておきましょう。
職業訓練は在職中から申し込むことができます
在職中に職業訓練を申し込むことが出来ます。職業訓練はお住いの地域により、訓練コース・訓練期間が違いますが、概ね訓練開始までには申込から2ヶ月かかるのは変わりません。退社後の職業訓練を考えている人は、ハローワークで職業訓練の種類と申込期間を調べて、希望の職業訓練を確認しておくようにしましょう。
訓練開始日を、雇用保険申込後にある7日間の待機期間が終わった後になるように調整して、退社日を決めるようにできれば、給付制限をできるだけ少ない状態で手当を受給できるようになり、職業訓練に通うことができるようになるので無駄な期間を減らすことができます。
雇用保険の申込手続きに必要となる離職票は、退社後に会社から送られてきます。離職票は退職日から10日以内に郵送にて送らなければいけないと雇用保険法にて規定されております。退社日から約10日間、その後ハローワークでの雇用保険の申請日と待機期間の7日と、退社日と職業訓練開始日を計算する場合には注意が必要です。
雇用保険給付期間終了後も給付を受けられる訓練延長給付
職業訓練を続けている間は、雇用保険の受給期間が終了したとしても、手当を延長して受給することができる訓練延長給付という制度があります。雇用保険の受給期間は、就業期間や退職理由によって変わりますが、雇用保険受給期間中に職業訓練を開始した場合は、誰でも訓練延長給付を受けることができます。職業訓練によっては訓練期間が2年というものもありますので、給付金を貰いながらジックリと時間をかけて技術を習得することができます。
雇用保険の基本手当以外に受講手当や交通費となる通所手当なども貰えるので、転職に有利・スキルアップになる職業訓練が有るなら検討しましょう。
雇用保険と職業訓練で安定した転職活動をしよう
雇用保険は退職してから転職が決まるまでの生活をするために無くてはならない制度です。職業訓練は異業種への転職の際に一定の知識と経験、そして資格を得ることができスキルアップにもなります。
雇用保険で受給できる手当は、退職した会社でもらっていた給料の5割から8割程となりますが、家賃と生活費ぐらいなら十分に賄える金額です。「ハローワークで手続きが必要」となると、途端に面倒と思ってしまう人がいますが、雇用保険に加入していたのなら使える制度なので、利用しないと勿体無いです。
職業訓練は時間に余裕をもって技術を身につけることができ、転職活動を有利に進めることができます。仕事をしながら資格の勉強をしたことがある人なら分かると思いますが、丸1日使って勉強(職業訓練)できるのはとても贅沢なことです。訓練延長給付制度もあるので、もし自分の将来プランに関連する訓練がある場合には、少し転職活動を休んででも職業訓練に行くことをおすすめします。